封筒の控え
セリーヌの机に、中央保管施設の法務担当から改めて回答が届いた。閲覧を妨げていた内部規約について、裁判所の命令が優先すると正式に認めたという。ただし資料の分類に時間が必要と記されていた。
職員たちは一歩進んだと喜んだ。セリーヌも署名を確かめたが、これで記録が直ちに届くわけではないと分かっていた。
午後には別件の交通事故について遺族が訪れた。捜査の結果を急ぎたい気持ちと、証人の治療を待つ必要があることを、彼女はできるだけ率直に説明した。
仕事の終わりに中央施設へ電話すると、エロディが応対した。封印を破らずに箱の数を確認する作業を進めているという。セリーヌは職員の名前を聞き、正式な立会人として記録した。
廊下の古い暖房が音を立てて動き出した。若い書記官が両手をかざし、明日の予定を口にした。裁判所の窓口には毎朝、別々の事情を抱えた人々が来る。
法令集の索引を探す途中、書記官は同じ条項について過去に二度判断が分かれた例を見つけた。古い慈善事業の資産には適用されても、医療情報には適用できないという見解がある。セリーヌは二つの裁判例を読み、それぞれの前提が違うことを確認した。答えがほしいからといって都合の良い判例だけを選べば、後に資料が使えなくなる。昼過ぎ、地方弁護士会の相談窓口から、傷害事件の被害者家族が支援を求めているとの連絡が入った。彼女は刑事手続きとは分けて適切な担当者へつないだ。調べる者のために生きている人間がいるのではない。生きている人間の権利のために調査がある。
セリーヌは受領した封筒を複写し、原本を施錠した。




