封鎖された部屋
中央保管施設の内部監査で、地下の一室が一時的に閉鎖された。施設長は一般利用者に設備点検だと説明した。実際、湿度管理の不具合も見つかっており、修繕が必要だった。
エロディは扉の封印を確認し、立ち入り記録を付けた。検察庁から届いた追加照会については、監査担当者の立ち会いが求められた。
「何か隠しているんですか」と若い職員が聞いた。
「分からない。だから記録しているの」
彼女は慣れたように答えたが、心は落ち着かなかった。鍵を預かる者は鍵の向こうを知らない。長年それが良い仕事だと思ってきた。
昼休み、故郷の母から電話があり、庭の木が折れたと聞いた。来週の休みには片づけに帰ると約束した。母は事件のニュースなど知らない。
夕方、点検業者が封鎖室の壁から古い配線を見つけた。使われていない回線で、施設の図面にも載っていない。業者は危険がないか確認するため、作業を中断した。
点検業者は配線の行き先を確かめるため、施設の外壁を調べた。古い機器が撤去された痕があり、そこまで続く線は切られたままになっていた。電気の危険はないと分かり、施設長は修繕を依頼した。ところが封鎖された部屋の図面には、もう一つ小さな壁内空間が記されている。職員が物を収納した記録はなかった。監査担当は壁を壊す前に建築図面の正確さを確かめることにした。エロディは鍵の受け渡しを記録し、帰宅した。家では母が持たせてくれた保存食を温めた。彼女にとって、箱の向こうの秘密より温かな食事が必要な夜もあった。
エロディはそれを不正な通信だとは書かなかった。「配線の用途未確認」。その短い文を、監査簿の新しい行に残した。




