静かな異議
セリーヌは中央施設から届いた回答書を読み、担当官の説明に不足があると判断した。証拠品の一覧は提供可能だが、閲覧には施設の理事会による承認が必要だと書かれている。裁判所の命令とは別の条件だった。
「行政上の契約で、司法の照会を止められるんでしょうか」若い書記官が尋ねた。
「契約の範囲を見ないと分からない。まず規定の根拠を求めるわ」
彼女は異議申立ての文案を起こした。窓の外では婚姻の手続きを終えた二人が写真を撮っている。同じ建物で、人の人生を大きく変える仕事が並んでいる。
午後、別件の家庭内暴力の審理があり、セリーヌは被害者の保護について関係機関と協議した。ヴァルノワの調査だけに時間を使えるわけではない。日が暮れるころ、机へ戻って中央施設の回答書をもう一度開いた。
理事会承認の根拠条項には改正日がない。制定された当時の法律もすでに失効しているらしい。彼女は結論を急がず、法令集を取り寄せるよう指示した。
古い法令集には、慈善財産を国家と共同で保管していた時代の暫定条項が載っていた。廃止の際に経過措置が置かれたため、今でも限定的な効力があるかもしれない。セリーヌは法務の専門家へ意見を求め、若い書記官に質問の範囲を整理させた。勝てる争いを作ることが目的ではない。預けられた資料の所在を確かめ、必要な人へ説明できる状態へ戻すことが目的だった。夕方、別の法廷から遺失物が運ばれ、職員たちは持ち主への返却手続きを手伝った。小さな紙片でも、扱い方を誤れば取り戻せなくなる。
書記官は封筒を用意し、宛先を読み上げた。セリーヌはその名を確かめ、署名した。




