交差する道路
マチューは町の交通課を訪れ、屋敷の私道につながる三本の道路を確認した。黒い車の話だけでは車種も運転者も分からない。だが夜間に大型車が入るなら、舗装工事の記録には何か残るかもしれなかった。
交通課の主任は橋の補修費で頭を抱えていた。議会の承認が降りず、冬までに直せるかどうかも不明だ。私道の話を向けると、地図に書かれていない排水溝を示した。
「ここを直したのはうちじゃありません。私有地の管理者です」
記録の写真には新しい鉄の蓋が写っていた。工事車両が入ったことは分かるが、誰が何を運んだかは見えない。
午後、マチューは県都のアンリと連絡を取り、被害者の供述を確認した。拘束されていた男は道路の名を聞かれたという。しかし資料の送付先については何も答えられなかった。犯人に近づいていると考えるには、まだ根拠が薄い。
署へ戻る途中、道路の脇で住民たちが排水用の溝を掃除していた。来週また雨が降るという。主任が心配していた橋とは違う場所だが、同じ町の水がそこを流れる。
工事会社は十年以上前に倒産し、元の社長は別の町で修理店を開いていた。マチューは電話をかけ、私道の補修を受注したかだけを尋ねた。男は確かに工事を覚えていたが、材料費の支払いが遅れたことの方をよく覚えているという。請求書の写しは税務上の保存期限を過ぎていた。ただ、町から工事の許可を得た控えが手元に残っているかもしれないと話した。男は翌週、時間を作って探すと約束した。マチューはその返事を待つ間、現在の道路管理者を照会した。
マチューは補修工事の請求書を取り寄せる手続きを取り、車を少しだけ遠回りさせて署へ戻った。




