鍵を預かる人
首都の共同保管施設で働く鍵管理者エロディは、朝の点検で棚の封印を数えた。保管物の持ち主が誰であっても、鍵を渡すには二人の職員の署名が必要だ。古い制度を面倒だと言う新人もいるが、エロディは一度だけ数が合わなかった年を忘れない。
その日の照会は地方検察庁から届いた。求められた番号体系は確かに施設で使われていた。ただし、帳簿の分類上は医療資料も輸送記録も同じ「一時保全物」に入る。中身を扱わない職員にとって、二つの品が関係しているかどうかは分からない。
「保管物の一覧は出せますか」担当官は電話で尋ねた。
「裁判所の命令があれば。ただ、一覧が残っているとは限りません」
館内の暖房が故障し、作業員が通路を行き来した。エロディは職員用の毛布を受付へ運び、冷えた手で書庫の扉を施錠した。仕事を終えようとしたとき、管理簿の備考欄に見慣れない古い符号があるのに気づいた。
その符号は鍵の番号ではなかった。鍵を借りる権限を確認するための、廃止された承認印だった。誰が最後に承認したのか、欄は空白だった。
エロディは古い鍵の台帳を数十冊調べた。複写の不鮮明なページには職員番号の末尾しか残っておらず、急げば別人の記録と混同しかねない。以前、監査で責められた新人が退職したことを思い出し、彼女は手伝う同僚に休憩を取るよう勧めた。昼には電気工が暖房を直し、寒さに震えていた利用者がようやくコートを脱いだ。作業は何も劇的ではないが、記録を守る人間の健康もまた保管施設の責任だった。印影の脇にある鉛筆の小さな矢印だけは、古い様式にも説明が見つからなかった。
彼女は空白を勝手に埋めず、古い台帳の複写を依頼した。




