二つの保存命令
セリーヌは中央の記録機関に対し、医療資料の保存について新しい命令を整えた。別の検察官が扱う傷害事件にも、同じ法人名が現れている。捜査が別々であるほど、手続き上の連絡漏れが生じやすい。
中央機関の法務担当は、資料は適切に保全されていると答えた。しかし現物の所在地と受領者について、また別の文書が必要だという。セリーヌは書式を確認し、期限を記した。
「ここまで来ても、まだ書類ですか」
若い職員がため息をついた。
「書類を残さない仕事ほど、後で誰も責任を取れなくなる」
裁判所の窓から見える広場では、冬祭りの準備が始まっていた。警備員は子ども用の柵を運び、屋台の人たちは電気の配線を確かめていた。町の暮らしは、誰かが夜中まで記録を書くことで辛うじて守られている。
夕方、最初の保存命令についての受領通知が届いた。日付は正しい。署名の欄には見慣れない代理人名があった。
保存命令の通知は、紙と電子の両方で送られた。どちらにも同じ内容があることを確認してから、セリーヌは送付記録へ署名した。若い職員は、なぜそこまで慎重なのかと尋ねた。彼女は以前、受領が確認できない命令を巡って長い争いが起きた例を話した。正しいことを書くだけでは、正しく伝わった証拠にならない。事務室の窓辺には誰かが置いた小さな鉢植えがあり、陽の当たる側へ少しずつ傾いていた。職員は水を足し、次の書類を取りに行った。
受領通知を確認する作業は、机の上では退屈に見える。けれどセリーヌは、どんな大きな疑惑でも証拠は小さな手続きに支えられると知っていた。相手が偉い人間であっても、無名の職員であっても、その原則を変えたくなかった。
セリーヌはその名を控えた。ひとつ目の扉が開くと、奥にもう一枚の扉があった。




