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息子の死因を教えてください――ある母親の復讐  作者: 竜太郎


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似ていない二人

新しい証言は、事件当日の灰色の上着の女に関するものだった。隣町の薬局で働く女性が、同じ時刻に似た人物を接客したと申し出た。だが防犯映像の照合では、別人の可能性が高かった。


ローズは写真を慎重に見た。服装は似ているが、立ち方が違うという。記憶の弱さを自覚した彼女は、断言しなかった。


「間違えたら、あの人に迷惑がかかりますね」

「だから一つずつ確かめるんです」

マチューは答えた。


別の事件の対応で署員は忙しかった。町の川が増水し、住民の一部が避難している。アンリは夜間の警戒へ回り、マチューがローズを自宅まで送った。


写真の人物は観光客として宿泊しており、旅行会社がその日の行程を確認してくれた。マチューは相手へ迷惑をかけたことを説明し、協力に礼を述べた。無関係と判明することも、捜査の成果の一つだった。アンリは関係者の顔写真を机に並べているうち、誰もかれも似て見えると漏らした。マチューは作業を休むよう勧め、翌朝、別の担当者にも照合を依頼した。疲れた目で記憶を都合よくつないではならない。正しい手順を守るほど、犯人の輪郭が薄くなる日もあった。


アンリは調査が終わった写真を裏返し、台帳の該当欄に説明を記した。誰が見ても同じ判断にたどり着けるようにする。それが次の捜査官へ残せる最低限の仕事だった。


その晩、ジュリアンからマチューへ短い電話があった。妻に似た女性の目撃情報がニュースに出るたび、誰かが彼の家を訪ねるという。中には勝手に写真を撮る者もいた。捜査官は被害の記録を残し、必要な対応を約束した。


クレールの所在はつかめなかった。だが彼女を見たという人間は増えていた。目撃の数が増えても、そのまま真実が近づくわけではない。

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