二度目の聞き取り
隣県の被害者は若い会計士だった。屋敷を管理する会社の支払い処理を一度手伝っただけで、顧客と直接会ったことはないという。傷の手当てを受けながら、男は何度も同じことを訴えた。
「知らないと言っても、やめてもらえなかった」
警察は供述を取り、犯人の特徴と時系列を記録した。前の事件より質問が具体的だったが、そこから犯人の技能や経験を決めつけることはできない。被害者が感じた恐怖は、記録だけでは測れなかった。
男の妻は幼い娘を抱えて病院へ来た。娘は父の包帯を見て泣き、妻は医師の説明を途中で遮らずに聞こうと努めた。家庭の普通の時間が、突然断ち切られていた。
セリーヌは県境を越えて供述と資料を照合するよう指示した。傷害事件を見逃すことはできない。ルカの死と関連があるとしても、だからといって新たな被害が許されることはない。
若い会計士が扱った支払伝票には、倉庫の番地と屋敷の古い名称が並んでいた。ただしその二つが同じ仕事に属していたかどうか、本人にも分からない。警察は証拠として提出された写しの出所を確かめ、原本の保管先を尋ねた。会計士は傷害事件への怒りと、顧客を裏切ることへの恐れの間で揺れていた。妻は決めるのはあなたではなく法律だと言った。男は時間をかけて相談することを選んだ。捜査官はその返事を待つと約束した。
夕方、会計会社から監査に必要な書類が届いた。上司は捜査への協力を約束したが、顧客の情報には守秘義務があると念を押した。
マチューは窓の外を見た。雨が上がり、病院の前にタクシーが並んでいる。誰もが帰れる場所へ戻ろうとしていた。




