開けたままの引き出し
ジュリアンが家に帰ると、クレールの衣類が半分なくなっていた。机の引き出しは開けたままで、小さな手帳と路線図も消えている。食卓には短い手紙が置かれていた。
『しばらく戻れません。あなたを巻き込みたくありません。』
何に巻き込まれるのかは書かれていない。ジュリアンは電話を掛けたが、すでに使われていなかった。警察へ相談するべきか迷い、まず隣家のローズを呼んだ。
ローズは玄関で手紙を読み、長い間黙っていた。夫婦がどれほど別々の時間を過ごしてきたか、彼女には分からなかった。
「帰ってきてほしいですか」
「帰ってきてほしいに決まっています」
ジュリアンはそう答え、それから自分の声に驚いた。
工場では主任が数日の休みを認めた。同僚は食料を運び、誰も事情を詳しく聞かなかった。ジュリアンは役所で住居の変更手続きについて調べたが、妻の所在を勝手に追うことはできなかった。
ローズが帰った後、ジュリアンは寝台のある部屋へ入った。布をかけたままの小さな枕と、洗って乾かした衣類が残っている。クレールが持っていかなかった物は、捨ててよい物ではない。彼はしばらくそこに立ち、以前妻が歌っていた短い歌を思い出そうとした。最初の節しか出てこなかった。冷蔵庫から水を取り、薬局の買い物袋に残った古い領収書を見つけた。日付は、彼らがまだ三人でいた最後の週だった。
夜、開いた引き出しを閉めようとすると、奥に青い帽子の値札が残っていた。クレールが事件前に見ていたものと同じ、小さな星の絵がついている。ジュリアンは引き出しを閉めず、そのまま部屋を出た。




