↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
息子の死因を教えてください――ある母親の復讐  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/192

開いたままの門

マチュー・ルグランは小さな町の捜査では、閉じた扉より開いた門を先に確かめる。人が自由に出入りできる場所には、記録に残らない出来事が多いからだ。


モロー家の門には故障がなかった。蝶番には新しい油が差され、鍵は内側からも外側からも掛かる。道路を挟んだ花屋の主人は、その朝、黒い車を見たと言った。ただし車種も人数も曖昧だった。


「娘の通学時間なら、何台も通ります」


花屋はそう言って、店先の鉢を風の当たらない側へ移した。


マチューは市場の監視映像を回収した。車の後部しか映っていない。番号も読めない。それでも映像を保存し、町外へ出る道を地図に引いた。山道は二つ、幹線道路は一本。どれも平日の午前中には交通量がある。


花屋の主人は午後になると、学校から戻った娘に店を任せて病院へ行く。妻の治療は長引いていた。捜査官が同じ質問を何度もするので、彼は腹を立てかけたが、モロー家の窓に閉じたままの雨戸を見ると、言葉を飲み込んだ。


署に戻ると、上司が机に紙の書類を置いた。急ぐようにという電話が県の事務所からあったらしい。電話の相手は事件名を正確に言えたのに、誰が担当かを尋ねなかった。


「上が気にしているんでしょうか」


「分からん。だから記録しておけ」


マチューは電話が来た時刻も書き足した。


帰り際、庁舎の清掃員が、亡くなった子の母親が外で待っていると知らせた。クレールは椅子に座り、小さな手帳を膝に置いていた。何かを尋ねられるたびに日付と名前を書き留め、答えのなかった質問にも番号を振っていた。


マチューはまだ、その手帳をありふれた遺族の記録だと思っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。