変わった保管番号
中央の医療記録機関から、ようやく検査資料の受領確認が届いた。署名はある。しかしシモンが控えていた番号と、新しい通知に書かれた番号は一致しなかった。訂正の理由も添えられていない。
担当者へ電話すると、統合システムへ移行したためだという。よくある説明だった。シモンは移行前後の対応表を求め、上司に正式な請求を出してもらった。
昼休み、検査室の新人が父の退院を報告した。長い入院が終わり、家族はようやく同じ食卓を囲めるらしい。シモンは祝いの菓子を受け取り、伝票の整理を続けた。
その日の午後、閲覧権限が再び変更された。今度は中央の医療部門ではなく、別の省庁の管理部門が窓口になっていた。理由の欄には『特殊保全』とある。医療資料にその言葉が使われること自体は珍しくないが、対象範囲が示されていなかった。
新任の上司は、長く滞った照会を嫌っていた。未処理の案件が棚を埋めれば、新しい検査の場所がなくなるからだ。シモンは事情を説明し、保管期限の延長を頼んだ。上司は最初、不満そうだったが、受領番号が二度変わっていると知ると慎重になった。誤りがあるなら訂正すればよい。訂正した記録がないことだけは見過ごせない。二人は再照会の担当を分担し、既存の検査を止めない方法を考えた。部署の仕事は一つだけではないのだった。
「患者家族への説明はどうするんです」
シモンの問いに、上司は答えを持っていなかった。
数日後、正式な照会が差し戻された。書式の誤りが理由だった。シモンは書き直した。一枚ずつ手続きを積めば、相手の部署が変わっても追えるはずだと信じていた。




