古倉庫の鍵
廃止倉庫の管理記録を照会したマチューは、施設が閉鎖された年に鍵の更新費が計上されていると気づいた。解体予定の建物で、なぜ新しい錠が必要だったのか。工事会社の帳簿には、防火設備の保全とだけ残っていた。
同行した若い憲兵アンリは、入口の錆びた鎖を見て首をかしげた。
「誰も使っていないようですね」
「それを確かめに来た」
隣の農家では羊が生まれ、家族総出で世話をしていた。納屋の主人は倉庫の灯りを見たことがないと話す。一方、週に一度だけ車が近くの道を通るとも言った。自分の畑に用がなければ、それ以上は見ないものだ。
署へ戻る途中、マチューは橋の向こうの病院で受け付けた男の名を聞いた。以前の倉庫管理人だった。証言を求めるには本人の所在を確認しなければならない。
夜、閉鎖倉庫の所有法人から回答が届いた。建物は貸与していないが、設備維持は委託業者の責任であるという。責任の所在を追うたびに、名前のない会社が一つ増えた。
倉庫の解体計画は地元議会の資料にも残っていた。資金不足で工事は延期され、その間の最低限の保守契約が延長されたという。アンリはこれを見て、自分の最初の疑いが一部は誤っていたと認めた。マチューは責めなかった。説明できる事実を除いた後に、説明できない部分だけが残る。閉鎖された倉庫に鍵がある理由は分かった。それでも、そこへ通う車については別の確認が必要だった。
アンリは倉庫をすぐ捜索すべきだと主張した。マチューは根拠を揃えようと答えた。憲兵隊が自分の判断を誤れば、町の人々が次の捜査を信用しなくなる。
雨の夜、倉庫の屋根を風が叩いた。その音を聞く者は、もう近くに住んでいなかった。




