庭に置かれた椅子
ジュリアンは家の裏庭に椅子を一つ出した。ローズが花の苗を分けてくれたからだ。ルカの墓へ供える小さな白い花で、寒さに強いと教えられた。
仕事仲間の一人が工場を辞め、別の町へ移ることになった。送別会の席でジュリアンは久しぶりに笑った。帰宅すると、鍵穴に見慣れない紙が挟まっているのを見つけた。
紙には短い一文だけ。「その写真を誰にも渡すな」。送り主の名はない。ジュリアンはマチューへ連絡し、前に届いた写真をすでに提出したことを伝えた。
夜、窓の外に人影は見えなかった。彼は雨戸を閉め、花の鉢を屋内へ運んだ。以前ならクレールに相談していたことを、今は一つずつ自分で決めている。
マチューは帰る前に郵便受けの高さと家の見通しを確認した。特別な装置も秘密の通路もない、ごく普通の玄関だった。ジュリアンは鍵をゆっくり回した。
紙を持ち込んだマチューは、印刷された文字か手書きかを記録に残した。ジュリアンは窓のそばで、誰が郵便受けへ近づけたか思い出そうとしたが分からない。前の晩は雨が降り、庭には自分の足跡も残っていた。警察官は確認できない部分を推測で埋めなかった。ジュリアンは仕事へ出る前にローズへ事情を伝えた。年老いた隣人が不安にならないよう、見慣れない人を見たら通報することだけ頼んだ。工場では同僚が送別会の写真を見せ、皆の笑顔に彼も少し表情を緩めた。今日をどう過ごすか決めなければ、明日は来ない。帰宅後、彼は植木鉢の土を確かめた。
翌朝、マチューが訪ねてきた。紙は脅迫か悪戯か不明だが、家の安全について確認するという。ジュリアンは必要な話をし、工場へ向かった。




