裁判所の階段
地方検察官セリーヌ・ボーモンの机には、処理待ちの案件が積み上がっていた。住宅への不法侵入、家族間の暴力、冬の道路で起きた死亡事故。ヴァルノワの乳児死亡については、追加検査を待つ報告が一枚だけ届いていた。
担当のマチューは面会の席で、資料の移送先を確認できないと説明した。セリーヌは書類を読み、移送命令を出した部署の名称に赤い線を引いた。名称そのものは正式だ。問題は、命令の根拠が記されていないことだった。
「中央が関われば事件になる、とは限りません」
「承知しています。ただ照会が戻ってこない」
二人は地元の医師へ再度依頼する文面を整えた。法に沿って待つ以外、できないことがある。廊下では手続きの遅れに怒った男が職員を罵倒していた。セリーヌは警備員を呼び、男にも席を用意するよう頼んだ。
午後、上級庁から電話があった。乳児の件は特別な関心を要しない、と穏やかに伝えられた。誰が関心を示したのかと聞いても、電話の相手は答えなかった。
セリーヌが初任地へ配属された頃、書類を急いで処理した結果、無関係の人間が長く疑われた事件があった。後から訂正しても、その人が失った仕事は戻らなかった。彼女は机の上の乳児死亡記録を見ながら、慎重であることと放置することが同じではないと考えた。上級庁への回答書には感情的な言葉を使わず、誰が何日までに何を示すべきか明記した。翌朝、その文面が正式に受理された。
夕方、セリーヌは裁判所を出た。石段の隅に雪が残り、清掃員が滑り止めをまいている。町では明日の朝も裁判があり、誰もがそのために働いていた。
彼女は書類に署名した。関心を要しないという言葉は、照会を止める理由にならなかった。




