公証人の署名
アルマンの事務所では、寄付を受けた土地の境界確認が年明けの恒例になっていた。古い屋敷の私道も、その書類の中に含まれている。費用を払う法律事務所には三十年の継続契約があり、更新のたびに担当者が変わっていた。
若い補助員は、変更届の最後に同じ筆跡が繰り返されていると指摘した。署名者の名前ではない。立会人欄に引かれた短い曲線が、古い記録から新しい記録へ続いていた。
「同じ人がずっと確認したんでしょうか」
「機械で複写した可能性もある。先に原本を確かめよう」
アルマンは安易な推測を避けた。公証の仕事は疑うためではなく、確かめた事実に責任を負うためにある。父の代から使う拡大鏡を机に置き、年代ごとの紙質を比べた。
昼過ぎ、屋敷の管理人が冬の除雪費を相談に来た。道は誰も通らないと以前言っていた男だ。ところが追加の砂利を頼む理由を尋ねると、夜間に大型車が入ることがあると答えた。
「どこの車です」
「私が尋ねることではありません」
事務所の奥には、父の代から使う木製の書類箱が積まれていた。補助員が数字を読み上げ、アルマンは照合済みの紙に鉛筆の印を付けた。日が暮れる頃、署名のある文書だけが四枚残った。新しい紙に古い筆跡を貼ったようなものもあるが、印刷の技術で説明できる部分も多い。アルマンは一つの奇妙さを、すべての文書の不正と混同しないよう気をつけた。慎重さは臆病とは違うと、父に教えられていた。
その夜、アルマンは立会人の古い署名を見つけた。名前を照会しようとして、十数年前の死亡記録に行き当たった。死亡したはずの人物の署名が、昨年の書類にも残っていた。
彼は翌朝の予定を消さず、まず補助員へ原本を施錠するよう告げた。




