国外の登記簿
ルイーズの監査先から届いた資料には、解散した保守会社と同じ所在地を使う外国法人があった。代表者の名前は異なるが、登記時の連絡先は一致する。法人の連続性を確かめるには相手国の公開記録が必要だった。
若い経理担当は、会社を隠すための架空名義ではないかと囁いた。ルイーズは資料の出所を説明し、まだ何も証明できないと答えた。
午後、父の介護のため勤務時間を短くした。上司は後輩へ引継ぎを命じ、書類の所在を整理した。
夕方、外国の登記担当から返信が届く。同じ建物に複数の法人が入居しているのは珍しくない。ただ、ある時期に限って郵便受けの管理者が一人になっていた。
父はルイーズが帰宅すると、お茶を淹れようとして湯の量を間違えた。彼女は責めず、二人分のカップを並べた。翌朝の予定は壁の紙に大きく書いてあった。
登記簿には古い電話番号も残っていたが、今は全く別の会社が使っている可能性があった。ルイーズは番号へかけず、公的な照会先へ問い合わせた。監査役の一人は、外国法人が関わるからといって不正と結び付けないよう注意した。県境で働く人々には、同じ国に住む親族がいないことも珍しくない。父の通院予定を確かめた後、ルイーズは資料の写しを法務担当に渡した。相手国の公開情報では、郵便受けの管理者は年に一度だけ交代している。特別な意味があるかもしれないが、ただの賃貸契約の変更かもしれない。彼女は次の資料を待つことにした。
彼女はその人物の名を控えた。屋敷の管理費を受け取った会社の従業員でも、信託の理事でもない人だった。




