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息子の死因を教えてください――ある母親の復讐  作者: 竜太郎


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川を越える伝票

国境近くの宿屋へ、別の国の刑事が聞き取りに来た。マルタは法に従って宿泊記録を確認したが、客の身の上話はしなかった。刑事が探しているのはクレールではなく、古い輸送会社の代理人だった。

その代理人は、過去に二つの国をまたぐ倉庫の管理を担当していたという。宿には一度泊まり、翌朝の列車で出発している。それ以上のことは分からない。

女将は若い職員に宿帳の保存方法を教え、食堂では地元の農家が野菜の値段について話していた。客が変わっても朝食の時間は変わらない。

マルタが洗濯物を取り込んでいると、玄関に小さな小包が置かれていた。宛名は代理人の古い氏名。差出人は国内の配送会社だった。


小包の外側には受取期限が書かれていた。マルタは女将と一緒に控えを確かめ、廃棄や開封をせず返送する手続きを進めた。夕食には遠方から来た客が増えた。


女将は届いた小包をその場で開けてくれと頼まれても応じなかった。配送業者が誤配と認めた以上、客の忘れ物と同じようには扱えない。マルタは伝票の番号だけを控え、業者の受領署名を保存した。後日、国境警察から問い合わせが来たときには、その事実だけを説明した。宿の夕食では、スープをこぼした子どもに母親が笑いかけ、店内に少しだけ温かい空気が広がった。マルタは昔の記録が何のために使われるのか気になっていたが、客へ話すつもりはない。窓の外では除雪車が坂を登り、玄関の石段には細かな雪が残っていた。


女将は勝手に開封せず、配送業者へ連絡した。小包は誤配として回収され、控えの番号だけが残った。

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