通用口の予定表
首都の会館に新しい警備責任者が着任した。書記は過去の来館記録の保管方法を説明し、廃止された通用口の鍵が台帳に残っていることを伝えた。責任者は当時の配達契約を確認するよう指示した。
古い予定表には「青封筒の回収」という記載がある。会議の日時と重なる日もあるが、単なる定期配送だった可能性が高い。記入者はすでに退職していた。
書記は退職者へ連絡を取る許可を求めた。議長は慎重に進めるよう言い、個人の名前を勝手に明かすなと念を押した。
会館では福祉団体の講演会が開かれ、広間に椅子が足りなくなった。職員たちは倉庫から予備の椅子を運び、来場者のため入口を広く空けた。
警備責任者は通用口の写真を撮り、現物の鍵と図面の番号を照合した。書記は昔の配送記録に使われた時刻の書き方が、今とは違うことに気づいた。
書記が予定表を作り直すと、退職したはずの運転手が記入者として残っている箇所があった。過去の資料を複写した際に名前が引き継がれたらしい。彼女は誤りを修正し、元の表を保存した。警備責任者は通用口の鍵をすべて調べ、使われていないものに新しい番号を付けた。鍵を交換した年の工事記録には、料金の支払先が空欄になった月がある。午後には講演会に参加した学生が忘れた傘を取りに戻ってきた。書記は受付で本人確認をして返した。大きな資料ばかり見ていると、こうした小さな受け渡しが単純な仕事に思える。しかし誰の物を誰へ戻したか分かることが、記録の基本なのだと感じた。
夜、警備責任者が通用口の点検記録を送ってきた。鍵が交換された年は、廃止されたはずの承認印が再び使われ始めた年と同じだった。




