石橋の通行止め
ヴァルノワの古い橋が補修工事で閉じられ、住民は長い回り道を使うことになった。マチューは交通整理の応援に出て、学校へ急ぐ子どもたちを渡した。捜査に使う車も、同じ道を迂回した。
道路課の主任は、屋敷の私道にも立ち入り検査が必要だと話した。橋と排水溝の管理図が古く、書類だけでは安全を確認できないという。
午後、役場へ戻ると、屋敷の予備鍵の受領簿が見つかっていた。鍵は過去の工事会社に渡され、その会社が解散した際の返却先だけが空白だった。
マチューは鍵の行方を調べる照会を出した。誰かが密かに持っていると決めつける証拠はない。ただ、道路の安全責任を曖昧にはできなかった。
通行止めの標識には、子どもが描いた花の小さなシールが貼られていた。道路課の主任は見つけて笑い、危険のない位置へ貼り直した。町の工事は少しずつ進んでいた。
主任は橋の工事の日程が延びることを住民へ説明するため、広報の文案を直していた。業者の人手が不足していること、雨天で予定が変わることを隠さず書いた。マチューは配達員の相談を受け、歩行者の通れる時間帯を確認した。夕方には一人暮らしの老人から、迂回路の坂を登れないと連絡があった。町は臨時の送迎を用意した。屋敷の予備鍵の件を調べる間も、道路課は別の仕事に追われている。主任が帰り際に渡した古い補修費の一覧には、管理会社とは別の団体が一時的に費用を負担した年があった。マチューは資料の出所を記し、翌日確認することにした。
夕暮れ、橋の向こうでパン屋の車が止まった。配達員は荷物を抱え、歩いて残りの道を渡っていった。




