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息子の死因を教えてください――ある母親の復讐  作者: 竜太郎


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面会を断った理由

アンリが病院を再訪すると、元役員はその日の面会を断った。前夜、見知らぬ番号から電話があり、古い職場の話をしないよう求められたという。脅しだったかは分からない。相手は丁寧な口調だったらしい。

アンリは通信会社への照会に必要な手続きを説明し、男の妻にも安全の相談先を渡した。彼は警備員を増やすだけで解決するとは言わなかった。

病院の中庭ではリハビリを終えた患者が日向に座っている。元役員は遠くからその景色を見ていた。かつて自分が運んでいた箱の中身を、今さら確かめたいとは思わない、と小さくつぶやいた。


夜勤の看護師が男のベッドの位置を少し変えた。扉が直接見えない場所の方が落ち着くという。男は礼を言い、目を閉じてしばらく呼吸を整えていた。


男は電話の後、病室の外で誰かが立ち止まるたび身を硬くした。看護師は廊下の動線を変え、面会名簿を再確認した。アンリは不必要に犯罪の可能性を強調しなかったが、本人の恐怖が本物であることは分かった。通信会社は、発信番号の照会に正式な手続きが必要だと回答した。アンリは書類を準備し、管轄の違う担当者と日程を調整した。一方、男の妻は短い時間だけ面会し、庭に植えた野菜の成長を話した。夫はその話を最後まで聞いた。退院して一緒に畑を見られるか、まだ返事はできなかった。


翌日の病棟の予定には運動療法が入っていた。男は看護師の勧めで廊下を少し歩き、息が上がる前に椅子へ腰を下ろした。窓の外には午後の光が差していた。


夕刻、アンリは受け取った通話履歴に残る番号を確認した。発信元は企業向けの交換設備を使っており、個人名は載っていない。契約者は調査中の信託とは別の設備会社だった。

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