凍る前の水道
屋敷の元庭師オリヴィエは、冬前の水道点検の依頼で別の住宅へ向かった。小さな家の老夫婦は、彼が例の屋敷で働いていたと知ると好奇心を隠さない。「地下に何かあったのか」と繰り返し尋ねられた。
「私は木と土しか見ていません」
彼は言い、破れた配管を直した。帰宅すると、町役場から元勤務先の鍵について問い合わせがあった。契約終了時に全て返却した控えを持参するよう求められた。
役場の職員は受領簿と控えを照合し、鍵の数が合っていることを確認した。足りない一本は屋敷のものではなく、道路の門の予備鍵だった。誰が持っているかは町の管理簿にもない。
オリヴィエは帰宅すると作業服を干し、娘の宿題を見た。道具箱には新しい雇い主の名前が貼られている。前の屋敷の仕事へ戻るつもりはないと改めて思った。
予備鍵を探す職員は、返却先が記載されていないことを謝った。オリヴィエは自分の手帳にも記録がないと答えた。仕事を離れた者の記憶を必要以上に頼るべきではないと、マチューは考えた。役場からの帰り道、オリヴィエは娘の通う学校へ立ち寄った。冬の作品展示会で、娘は庭の花を描いていた。屋敷の庭を手入れした日々が家族の生活を支えていたことは否定できない。しかし今は新しい雇い主の畑を守る責任がある。妻が夕食に呼ぶと、彼は次の朝の天気を確かめた。屋敷で何が起きていても、苗は寒さから守らねばならない。
オリヴィエは妻に一連の話を伝えた。妻は新しい仕事の給与明細を見せ、春になれば娘の自転車を買い替えられると笑った。元の屋敷へ戻る予定はない。




