封筒を開けた男
ジュリアンの家に、差出人のない封筒が届いた。中にはルカの生前の写真が一枚。家族が撮ったものと同じ写真だが、裏に古い保管番号が鉛筆で書かれている。
ジュリアンは手を洗ってから写真を透明な袋に入れ、マチューへ電話した。妻からの便りなのか、他人が送ったのかは分からない。玄関の郵便受けに落ちていた時刻も覚えていなかった。
マチューは持ち込まれた品の受領書を渡し、写真の出所を調べると約束した。局員の話では、同じ地域で差出人のない郵便がいくつも配達されている。特別な便とは限らなかった。
写真館の店主は昔の注文帳を探すため、埃の積もった棚を開けた。ジュリアンは店先で待ち、額縁に並ぶ知らない家族の笑顔を一枚ずつ眺めていた。
写真は少し色あせていた。ジュリアンは赤ん坊の靴下が片方ずれているのを見て、あの日はまだ暖房を使い始めたばかりだったと覚えていた。クレールが撮影した写真かもしれないが、彼の手元には元の画像がない。マチューは写真館の記録も調べると説明した。郵便局の局員は配達先の数を教えてくれたものの、特定の封筒だけを覚えていなかった。家へ戻ったジュリアンは、写真の複写が自宅に残っていないか探した。アルバムの裏側に、同じ構図の小さなプリントが一枚見つかった。差出人が誰なのかは分からないが、誰かが家族の写真を持っているという事実だけが彼を落ち着かなくさせた。
夜、ジュリアンは買い物袋からパンを取り出した。星の縫われた青い帽子を買おうと言っていたクレールの声を思い出す。写真の裏に書かれた番号が何を意味しようと、写っているルカは生きていた日のままだった。




