雨の日の受領印
エロディの保管施設に、司法の立会人が到着した。開封対象の箱は二つ。片方は補修工事の図面、もう片方は移送承認に関する旧原簿だ。箱を開ける順番も、誰が手に取ったかも記録された。
原簿には承認番号が並んでいる。署名の代わりに押された小さな印があり、末尾に「代理確認済」と書かれていた。原本の紙は傷み、閲覧者がページをめくるたび薄い音を立てる。
新しい職員が職員章を落とし、皆で床を探す騒ぎになった。エロディは手続きを中断して拾い上げ、立会人が席へ戻るまで誰にも原簿に触れさせなかった。
管理簿の最後の頁は角が丸く擦り切れていた。エロディは保存紙を挟み、壊れやすい部分を写真に残した。鍵を戻すときは、いつもと同じ順番で数を確かめた。
立会人のひとりは、旧印を使っていた頃の帳簿に慣れていなかった。エロディは紙の表裏と閉じ方を説明し、初めて読む人にも分かるよう写真を撮った。頁の端に二度押された印があり、同じ承認が重複したのかと質問が出たが、実際には一度目が薄かっただけらしい。誰が押したかは分からない。午後の休憩室では、新人職員が祖母の誕生日を忘れたと言って慌てていた。エロディは売店の場所を教え、帰りに花を買えばよいと笑った。地下室へ戻ると、封筒の束が机の中央に置かれていた。紙の上には古い権限の終わりが記されているのに、受け取った者を示す行は沈黙していた。
扉の向こうで清掃用のワゴンが通り、車輪の小さな音が途切れた。監査が終わるまで、そこは普段どおりの書庫だった。
その日の最後、封印された袋の中から、委任を終了する通知書が一枚見つかった。日付はルカが生まれる前だ。だが通知を受け取る側の欄は空いていた。




