食堂の電気代
ラ・ヴェーヌ信託からの支援を受ける食堂では、電気代の請求が前年より大きくなっていた。責任者のアデルは職員を集め、提供する食事を減らさずに節約する方法を考えた。補助金の監査が終わらなければ、追加の契約を結べない。
ナディアは取材に訪れ、無料で食事を受け取る人に無理に話を聞かなかった。洗い場の人手が足りないと分かると、取材時間を短く切り上げた。信託をめぐる疑いは、働く人々の怠慢とは別のことだった。
帰社後、彼女は古い会報を調べた。食堂が最初に助成を受けた年、理事会議事録には名誉職の承認印がない。それでも資金は支払われていた。
アデルは献立表の端に、寄付された人参の数を記した。買わずに済んだ分を翌日の果物へ回せると気づき、調理師へ伝えた。ナディアはその計算の細かさに驚いた。
食堂の利用者の一人が、古いコートの内側から食事券を差し出した。アデルが券は来月も使えると伝えると、老人は安堵して席についた。午後には近所の小学校から野菜の寄付が届き、子どもたちが育てた小ぶりの人参を皆で洗った。ナディアはその様子を撮影したが、顔を写してよいか一人ずつ確かめた。会館へ送る質問状には、助成の継続方法と承認印の効力を分けて書いた。答えがないからといって、目の前の食事を疑わしいものにするつもりはなかった。新聞社へ戻ると、別件の火災で店を失った家族の記事が待っていた。彼女は靴を履き替え、再び外へ出た。
「なくても動いた時期があるのね」とナディアはつぶやいた。制度が本当に必要なのか、誰かが必要だと信じさせただけなのか。彼女は会館に質問状を送った。




