二つの窓口
セリーヌは首都の会館と郊外の法律事務所から届いた回答を並べた。同じ保全番号について、前者は「物品の所在」、後者は「移送の承認」を扱うと書かれている。片方の記録だけでは、箱を動かした理由までたどれない仕組みだった。
書記官は二通を一つの事件記録に綴じようとしたが、セリーヌは別々の出所を明記させた。記録の欠落を後から補う際、誰が何を知らなかったかも重要になる。
午後、法律事務所の若い弁護士から電話があった。移送を許した署名はあるが、署名した人物は現物を見ていないという。形式上は適法でも、彼女には釈然としなかった。
その晩、会館の経理から臨時支出の承認を求める連絡が入る。暖房を止めれば、高齢者向け食堂の建物が傷む。職員は書類を揃えて待った。誰もが承認権の争いを望んでいるわけではない。
書記官は二通の封筒を別々の棚へ置き、翌日の照会先を赤い紙に記した。扉を閉める音が廊下に響いた。
会館側の回答には、保管品が移されたときの立会人の欄がある。だが立会人は荷物の外側しか見ておらず、中身を確認した者はいない。書記官がその点を指摘すると、セリーヌは「知らないと書いている人間を、知っていることにしてはいけない」と言った。午後の窓口では、父の遺産を巡る相談者が書類を返してほしいと訴えていた。記録を預ける側の不安は、名前の大きさで変わらない。セリーヌは窓口の担当者を手伝い、すべての紙が封筒へ戻ったのを確認した。二つの回答書にも受領時刻を記し、綴じた。
翌朝、セリーヌの机に届いた封筒には、二つの窓口のどちらにもない三枚目の控えを示す欄があった。控えの保管先だけが、印刷されていなかった。




