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息子の死因を教えてください――ある母親の復讐  作者: 竜太郎


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名前のない承認

中央保管施設から届いた最終の回答には、旧信託の保全記録を管理する窓口が二つ記されていた。一つは首都の会館、もう一つは郊外の法律事務所。医療資料と屋敷の輸送記録が同じ番号体系を使った理由も、そこにあった。

しかし承認者名の欄は空白だった。施設側は記録が存在しないのではなく、別の原簿で管理していた可能性を示した。

セリーヌは回答を読み、追加照会を準備した。名のない一人が命令したと決めることも、誰も責任を負わなかったとすることもできない。

マチューは検査資料の一覧を確かめ、アンリは傷害事件の捜査資料を別に整理した。二つの調査を結ぶ書類は増えたが、犯人の姿は見えない。

その夜、首都の会館では会議の席を一つ減らす提案が出された。議長は賛否を聞き、採決を次回へ送った。


シモンは検査資料の所在について、新しい冷蔵倉庫への確認を続けていた。ルカの試料と一致するかはなお分からず、正式な照合の手続きを待っている。マチューはその情報を別件の傷害捜査から切り離し、報告書に記した。アンリからは失踪した元役員の捜索に進展がないと連絡があった。首都の会館で承認権が揺らいでも、山道にいるかもしれない男の安全が保証されるわけではない。夕方、セリーヌは関係する部署へ記録の保存を重ねて求めた。窓口が変わっても、責任がどこかへ消えないようにするためだった。ヴァルノワではジュリアンが窓の鍵を閉め、ローズが花壇に水をやった。誰も全体を知らないまま、夜はそれぞれの場所へ降りてきた。


窓の外で雨が降り始めた。空席の名札は、まだ誰の名にも替えられていなかった。

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