↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
息子の死因を教えてください――ある母親の復讐  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/204

最初の問い

町の郵便集配人リュックは、夕方の配達を終えてから一人の女に声を掛けられた。腕には買い物籠を下げ、コートの襟をきちんと留めている。以前、乳児を亡くした家の母親だと、すぐに分かった。


「この住所に手紙を運んだことがありますか」


差し出された紙には、郊外の古い屋敷へ通じる私道の番地が書いてあった。


「届け先の情報は話せません」


リュックが答えると、女は一度だけうなずいた。引き下がるかと思ったが、今度は別の地番を示した。そこは数年前に廃止された倉庫の住所だった。


「そこも、郵便が届いていましたか」


「あなたには関係のないことです」


女は答えず、紙を折り畳んだ。リュックはそのとき初めて、彼女が質問より先に、自分の反応を確かめているのだと気づいた。


郵便局では春から配達区域が変わる予定だった。リュックは新しい地図を覚えるため、廃止された道の名前まで書き写していた。だから女が示した二つ目の地番にも、見覚えがあった。それを表情に出したことを、彼はすぐに悔やんだ。


近くの肉屋が店を閉め、通りには夕食の匂いが流れていた。女は買い物籠から何も取り出さない。ただ、道を譲ろうとしたリュックの前に立ったままだった。


「知っているんですね」


「何も知りませんよ」


その答えを聞いたとき、女の表情は少しも変わらなかった。


リュックは強引に横を通り抜けた。背後から追ってくる足音はない。それなのに帰宅後も、鍵を二度確認した。


翌朝、彼は町の憲兵隊へ相談に行った。受付の職員が女性の名を聞くと、リュックはすぐに答えた。


「クレール・モローです。あの人は、私の答えを信じていません」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。