返された鍵
屋敷の庭師オリヴィエは、管理会社から突然契約の停止を告げられた。理由は屋敷の修繕計画が変わったためという。未払いの賃金はなく、会社は鍵を返すよう求めた。
彼は最後の仕事として、庭の樹木が倒れないよう支柱を確かめた。秋から育てていた花の苗を置いていくのが惜しかった。
門の前で管理会社の代理人と会い、鍵を渡した。相手は礼を述べ、古い納品書を回収していった。オリヴィエは控えを残し、契約終了の確認を求めた。
帰宅後、娘が花の苗はどうなるのかと尋ねた。彼は分からないと答えた。仕事の終わりは、自分が世話をしたものの終わりとは限らない。
翌朝、マチューが聞き取りに来た。屋敷から持ち出された物の中に、庭師の手帳があったか確認するためだった。
庭師の手帳には、屋敷の花壇を植え替えた日付と苗の種類が細かく書かれていた。マチューはそこに、別棟の窓が一度だけ開いていたという記述を見つけた。庭師は換気のためだと思ったと答え、中をのぞいたことはないという。写真もなく、確かな目撃にはならない。ただ作業の日付は苗を買った領収書から確認できた。オリヴィエは書類を渡した後、他の仕事を探すため町の園芸店を訪ねた。春から忙しくなる農家が手伝いを探していると聞いたからだ。店主は求人を紹介し、庭師は帰りに娘へ小さな花の鉢を買った。屋敷に戻れなくても、土に触れる仕事まで失うわけではなかった。 新しい依頼先が決まるまで、家族は少し支出を控えることにした。娘は花の鉢を窓辺へ並べ、毎朝水をやった。
オリヴィエは自宅の棚から手帳を取り出し、署で必要な部分を複写させた。




