↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
息子の死因を教えてください――ある母親の復讐  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
112/240

消された予定表

首都の会館で次回会議の予定が変更された。議長の都合だというが、書記には正式な依頼が届いていない。誰かが共有予定表を書き換えたらしく、変更前の記録だけが残っていた。

職員たちは会議室を片づけ、参加者へ連絡した。遠くから来る予定だった団体もあり、怒りの電話が続いた。

書記は議長へ理由を尋ねた。議長は別の会合と重なったためと答え、それ以上説明しなかった。

午後、会館の古い運転手が退職を申し出た。腰を痛め、長距離の運転が難しくなったという。職員たちはささやかな送別会を開き、長年の勤めをねぎらった。

運転手は昔、会館の裏口へ無名の客を迎えに行ったと話した。誰なのか知らず、行き先も指定された住所へ向かっただけだった。


送別会の終わりに、運転手は若い書記へ一冊の小さな手帳を見せた。仕事で走った距離や車の点検日が書かれている。古い乗客の名前はほとんど記載されていなかった。役職の高い人でも、行き先は出発前に告げられたのだという。書記が疑問を口にすると、運転手は「私は道を間違えないことが仕事だった」と答えた。記憶の残る場所を尋ねても、首都のいくつかの通りを挙げるだけだった。翌朝、会館では別の運転手の採用面接が行われ、職員が希望勤務を相談した。書記は手帳の話を調査用の記録へ勝手に移さなかった。本人の了承が必要だ。議長の変更指示については、改めて正式な連絡を求めることにした。 退職の挨拶は最後まで穏やかで、書記は手帳を持ち帰らなかった。


書記は好奇心を押しつけず、退職祝いの写真を撮った。予定表の空白は、翌月も残ったままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。