新しい保管庫
シモンの検査室では、試料の保存棚を増設する工事が始まった。冷却機器の音が大きくなり、職員たちは一時的に別の部屋で作業した。ルカの試料の一部がまだ所在不明のままであることは、誰も忘れていない。
中央施設から届いた目録には、分類番号が合っていても預けた人物が違う資料が混じっていた。シモンは照合表を作り、確かに一致する記録だけを残した。
「これでは前より少なくなりますね」と後輩が言った。
「根拠がないものを含めるよりいい」
午後、病院長から設備の予算を減らす話が出た。試料を守るための費用と、患者の治療に必要な費用の両方を考えねばならない。シモンは技術的に欠かせない部分を説明した。
冷蔵倉庫の担当者は、ルカの試料の記録に該当する保存容器が見つかった可能性を伝えた。ただし番号札は交換されており、現物が本人のものかはまだ分からない。シモンは封印の写真と移送履歴を要求し、病院長にも報告した。安易に期待を伝えれば、遺族に新しい失望を与えることになる。後輩は検体の分析を急げないのかと尋ねたが、シモンは同一性を確かめる前の検査は危険だと答えた。午後、病院の新しい冷蔵棚が設置され、職員たちは温度の安定を見守った。帰り際、シモンはジュリアンへ伝える内容を下書きした。まだ分からないことが多い。けれど、何も動いていないとだけ言うのは違った。長く待つ人へ正確な言葉を渡すことも、仕事の一部だった。
夜、最後の照合が終わると、ルカの試料について一件だけ新しい所在が示されていた。別の病院の倉庫だった。ただし現物の確認はまだできていない。




