残された食卓
ジュリアンは工場の休暇を取り、ルカの墓へ行った。雨は降らず、風の弱い日だった。持ってきた小さな花を植えると、隣の墓を掃除していた老人が水を分けてくれた。
家へ戻って食卓を片づけていると、クレールが以前書いていた買い物の紙が見つかった。牛乳、石鹸、パン。どこにでもある日常の記録だった。
午後、マチューが訪ねてきた。新しい証拠を示すためではない。家族としての近況を確かめる定期の面談だった。
「彼女に会いたいですか」
ジュリアンは長く考えた。「会いたい。でも、何を聞けばいいのか分からない」
マチューは答えを求めず、必要があればいつでも連絡するよう伝えた。
夕暮れ、ジュリアンは二人分の皿を出しかけ、一枚を棚へ戻した。慣れた動作が、時に過去を呼び戻す。
ローズは夕食の皿を片づけ、ジュリアンに修理した窓の具合を尋ねた。隙間風は減ったが、以前より部屋が静かになった気がするという。彼女は無理に明るくしようとせず、今度庭の剪定を手伝ってほしいと頼んだ。ジュリアンは仕事の休みを見て返事すると答えた。夜、工場の同僚から翌週の勤務交代について電話が来た。ジュリアンは短く相談し、希望を伝えた。妻の失踪が仕事の全部を決めるわけではない。それでも工場で事故が起きれば、何より先にクレールへ話したくなる自分がいた。壁の時計が鳴り、家の中には返事をする者がいなかった。彼は小さな灯りを残して寝室へ向かった。 遠くで列車が鳴り、ジュリアンは明日の勤務の時刻を確かめた。
ラジオから遠い町の事故のニュースが流れた。どこかでまた別の家族が、昨日までと違う夕食を迎えているのだろう。




