判決を待つ家族
セリーヌは別件の傷害裁判で、被害者の証言を聞いた。事件そのものはヴァルノワと関係がない。だが傷つけられた人間が法廷で言葉を探す時間は、彼女にとっていつも重かった。
裁判を終えると、中央施設から新しい目録が届いていた。開示できる資料の一覧と、保管先が未確定の資料の一覧が別になっている。後者にはルカの試料に対応する分類番号があった。
「消えたということですか」書記官が尋ねた。
「いいえ。所在が確定していないとしか言えないわ」
彼女は捜索と保存を求める追加命令を準備した。
午後、遺族が裁判所の階段に座っていた。交通事故の審理が延期になり、長い旅をして来たのに何も決まらなかったという。セリーヌは職員に案内を頼んだ。
所在が未確定の資料について、中央施設は移送先を二つ示した。一つは保存用の冷蔵倉庫、もう一つは法的な所有権を管理する事務所。試料の現物とその権利を証明する紙が、別々の場所にある可能性が出てきた。セリーヌはシモンへ相談し、温度管理の記録を先に確保することにした。傷んだ試料では、後から原因を調べることができない。夕方、別件の遺族が面会に来た。彼女は時間を取り、結果が出ない理由を説明した。待たされる側には、待つ理由が見えないことがある。セリーヌは相手の質問を一つずつ聞き、分からないことは分からないと答えた。自分が扱う書類の向こうには、いつも誰かの時間があった。
帰宅後、彼女は温め直した夕食を食べ、翌日の予定を確かめた。調べるべき記録が増えても、誰かの生活を待たせていい理由にはならなかった。




