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ぬば玉  作者: しんげつ
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六十四、超

碧は御山の海側に張り付いた様な岩の上に居た。

凛達が出発してから、空の様子が気になっていた。

普段、鍛錬していても雨だと前に進むのが、少し遅れる。

馬を連れていたが、相生のように駆け抜けることができる人は

稀有だ。

今日は晴れていたが西の空が、黒い雲で覆われ出したのを見て、

狼煙で漁船に雨が来るのを知らせていた。


のろしは緊急の時にも使うが、天気についてはゆっくり挙げる。

雲が渦巻いているのが向かってくるのが見えていた。

遠くの黒い雲は、稲光も伴っている。


漁師たちはもう気がついているはずだった。

すでにこちらの岸向かったり、

近くの似島に向かっている。嵐が来るまでは船を繋いで待機するしかない。

風が強くなって来て木々が斜めに煽られている。


ケーン。ケーン。


遠くで生き物がなく。

目を凝らすと、鳥が見えた。


雲の位置からして、だいぶ遠いのに見える!

超だ!

超は見かけは鷲に似ているが、大きさは巨大で、

実際人が乗れる。天府は点族にその生育をさせていて、

移動手段に使う。


ケーン。ケーン。


独特の鳴き声が、風と雷鳴に混ざって聞こえる。

今から天府へ戻るには遅すぎる。

しかし、飛んでる位置の下は海で、

どこも降りられそうなところはない。


人が乗っているなら必ず、ここに来るなと思って見ていた。

超も速いが、雲も速い。

黒い雲に捕えられそうだ。

ただの雲ならいいが雷雲では命を落としかねない。

超の頭の向こうに人が見え出しだ。

後ろを時々振り返りながら雲が遅い空間へ横跳びしながら

こちらに全速で進んでいる。


碧は場所を考えると

平たい円岩のところか?

と推測した。

御山は岩以外は森で平地はない


聖域の御山と分かっても来るしかないだろう。

人が視認できるところで黒雲が超を捕えた。

あ、っと思った時には

雷がゴロゴロと震えて、

光と共に、バリバリーーと空を切り裂く音がした。

土砂降りの雨が降り出して、黒い雲の超が巻かれたところをみる。


風はこちらに向かい風だ。


バサバサバザー

音が碧の身体を囲むように来た。

黒い雲の下に羽が見えたかと足を踏み締めていると、

二、三度羽を動かすとそのまま平岩に流れて

超は足も出せずに広げたままの羽で止まった。


別の岩に打ち当たり、衝撃で、人が飛んでいく。


碧はその人に合わせてとんだ。

体ごとぶつかると、

森の中へ堕ちていく。


何処かに引っかっかてくれ!


腰から縄を放りながら願うと

何度か背中で木の枝に引っかかりながら、

地面に二人で落ちた。


雨が容赦無く降り付けて、

ハッとして、身をおこした。

腕に抱えた人は、子供の様に見える。


呼吸を確認して

岩陰に這う様にして引っ張ると木の根元と岩で

上手く雨があたらない場所に横たえると、

直ぐに超のところへ岩を登った。


見ると、超はまだ動いている。

足はダラリとして

横たわっているとしかいえない。

近づくと本能か目を開けた。

血がそれほど出ていなく傷は深くはなさそうだった。


雷に打たれたな。

これは超の生命力に頼るしかなさそうだ。仕方ない。

お前は眠れ。


頭をポンポン叩くと

目を閉じる。


子供が先だな。

岩つたいに滑り降りる。


子供は横たえた木の根元のところにそのままいた。

体が冷えない様に自分の上掛けをかけて、

雷鳴を聞いた。

雨は音と共に益々、激しくなっている。



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