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神父と白い野獣―呪われた村で出会ったのは、神に縋る青年と、獣と呼ばれた異教徒だった。  作者: あともす


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14世紀イギリスが十倍楽しめる!アッシュワース村ガイド③

■荘園の基礎知識

14世紀のイングランドにおける荘園(マナー / Manor)は、単なる農村ではなく、「経済」「司法」「社会」が一体となった自給自足的な統治単位です。

________________________________________

◎荘園の土地構成

荘園の土地は大きく3つに分類され、これが村の格差を生んでいました。


区分  |    名称   |    内容

____________________________________________________________

領主直営地|デメイン (Demesne)|領主(ペンストレイト男爵)が直接所有する土地。農民はここでの労働義務(賦役)がありました。

____________________________________________________________

農民保有地|テネメント (Tenement)|農民が自分たちの生活のために耕作する土地。収穫の一部を領主へ納めます。

____________________________________________________________

共用施設・地|コモンズ (Commons)|森、牧草地、ウィンドル川など。薪拾いや家畜の放牧に使われますが、利用権は厳格です。


◎ 登場人物の「階級」と「役割」

14世紀の荘園における、各キャラクターの立ち位置は以下のようになります。

1. 領主と代官(支配層)

・ペンストレイト男爵(領主): 荘園の所有者。通常は別の大きな城に住んでおり、村の管理をトーマスに任せています。

・トーマス・バートン(代官 / Bailiff): 領主の代理人。徴税、農業計画、裁判の運営を担う実務のトップです。村人からは「領主の牙」として恐れられます。


2. 上役と農民(被支配層)

・ミルナー(上役農民 / Reeve): 荘園の管理実務を助ける村の代表。水車小屋の管理など経済的に重要な役割を担い、一般の農民より裕福です。

・一般農民(ヴィラン / Villein): 土地に縛られた農奴。週に数日の労働義務と、収穫の納付が義務付けられています。

・最下層民: 土地を持たない、あるいは共同体から疎外された存在。湿地帯のような「価値の低い土地」に追いやられています。

最下層民もさらにいくつかのグループに分類されます。


階級名(役割)   |  内容と特徴

____________________________________________________________

コッター (Cottar)|ほんのわずかな土地(5エーカー未満)と**小さな小屋コット**だけを保有する貧農。|自分の力で食べるだけの農地を持たず、日雇い仕事や内職で食いつなぐ、村の最下層の定住民です。

____________________________________________________________

土地なし労働者 (Landless Laborer)|自分の土地を一切持たず、他人の農作業を手伝って賃金を得る者。|親を亡くし、相続する土地もないルーシーは実質的にこの状態に近いと言えます。

____________________________________________________________

放浪者・疎外者 (Vagrant / Outcast)|共同体の中に居場所がなく、法の保護を十分に受けられない者。|湿地帯という「村の外れ」に住んでいるため、社会的には「村人」と「余所者」の境界線にいます。

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