第96話「福祉窓口:申請理由が『呪いで働けません』」
◆朝・ひまわり市役所 庁舎二階 異世界経済部
福祉窓口は、役所の中でも空気が違う。
制度や書式が同じ庁舎の中にあっても、あそこだけは、文字の向こう側に“人の暮らし”がはっきり見えてしまうからだ。
異世界経済部の部屋で、勇輝は朝の資料に目を通していた。昨日の税務課の件が片づいたばかりで、書類棚の隅には「出店許可更新要件(改定案)」のファイルがまだ立っている。
こういうときに限って、別の種類の相談が重なる。町は休まずに動くし、困りごとは順番待ちをしてくれない。
ノックの音がして、総務の職員が顔をのぞかせた。いつもなら「すみません、少しだけ」と言ってから入ってくる人が、今日は最初から部屋の中に踏み込んでくる。足取りが、軽くない。
「主任、福祉課からヘルプです……すぐ来てもらえますか」
「福祉課がヘルプを出すって、相当だね。内容は、窓口の混雑? それとも個別ケース?」
「個別です。申請書の文面が、職員の手を止めました」
「止める文面って、だいたい二種類だ。読んだ瞬間に胸がざわつくやつか、制度の引き出しが空振りするやつ」
「後者です。申請理由が……『呪いで働けません』って」
勇輝は一瞬、息を整えた。
異界が現実になった町で、呪いは絵空事ではない。けれど福祉制度は、魔法の真偽判定をするために作られていない。ここがずれると、どちらも傷つく。
隣の席で、美月の顔がぱっと明るくなる。
「呪い……! 異界っぽいというか、ついに来たというか、困ってるのは分かるけど、書類に書かれると存在感が強いですね」
「うん。存在感が強いほど、言葉選びを間違えるとこじれる。まずは現場で、本人の話を聞こう」
勇輝は椅子を引いて立ち上がった。
加奈が手早くメモ帳を差し出す。
「福祉窓口は、言い方ひとつで相手の表情が変わるから。必要なら私も同席するよ。異界の人、警戒すると言葉が少なくなることがあるし」
「助かる。今日は『原因を決めつけない』が大事になりそうだ」
そこへ市長が通りかかった。廊下で足を止め、事情を聞くと、すぐに表情を引き締める。
「困っている人を前にして、窓口が止まるのはよくない。支える道筋を作ろう」
「はい。ただ、支え方の筋を外すと、別の人も困らせます。そこを丁寧に整えます」
「分かっている。必要なら私も顔を出す。福祉の案件は、町全体の空気に影響するからな」
勇輝は頷き、加奈と美月を連れて福祉課へ向かった。
◆午前・福祉課 相談室
福祉課の相談室は、机と椅子があるだけのシンプルな部屋なのに、妙に音が吸い込まれる。ここに座る人の言葉を、できるだけそのまま受け止めるための空間なのだろう。
担当職員は、申請書を前に固まっていた。ペン先が紙から離れたまま、どこに言葉を落とせばいいのか迷っている顔。
机の端には、生活支援のパンフレット、相談記録の用紙、そして本人確認のチェックリスト。いつものセットが、今日は頼りなく見える。
「主任さん……これ、どう扱えば……」
「大丈夫。いきなり結論を出さない。まず、本人の困りごとを整理するところから始めよう。申請書は入口にすぎない」
向かいの椅子には、異界の住民と思しき青年が座っていた。獣人だ。耳が垂れ気味で、目の下に影がある。身体は大柄なのに、背中が縮こまって見える。
逃げたいのに逃げていない。助けを求めに来たのだ、と分かる座り方だった。
勇輝は名札の位置を相手に見えるようにして、声の調子を一定にした。緊張する場ほど、話す側が落ち着いている必要がある。
「お名前を確認してもいいですか」
「……ルカ」
「ルカさん。来てくれてありがとう。今日は生活の相談で、働くのが難しい状況なんですね」
ルカは小さく頷く。頷き方が遅い。頷くたびに、何かを思い出しているようにも見えた。
加奈が隣で、急がずに質問を重ねる。
「いつ頃から、仕事が難しくなったの?」
「……二週間くらい前。市場で……揉めて、それから」
「揉めたあと、体に変化が出た?」
「重い。眠れない。仕事に行こうとすると息が浅くなる。頭がぐらぐらする」
担当職員が、いつもの手順で訊ねる。
「医療機関の受診は……」
そこでルカが首を振った。
「医者……いない。人間の医者、少ない。異界の治療者なら……いる。でも……怖い」
怖い、という言葉が小さく落ちた瞬間、部屋の空気がまた少し沈む。怖いと言わせた原因は、症状だけではない。過去の経験や噂も混じっている。
ルカが両手を膝の上に乗せ、ゆっくりと手の甲を見せた。
指先から手首にかけて、薄い黒い模様が走っている。墨が皮膚の下で滲んだような線が、光の加減で微かに揺らいで見えた。
美月が、言葉を選びながら息をのむ。
「……目で見える変化があると、本人も不安が増えますよね。隠したくても隠せないし」
勇輝はうなずき、ルカの視線の高さに合わせる。
「ルカさん。ここで大事なのは、今のあなたが困っていることです。『困っている』のは事実として受け止めます」
ルカの目が少しだけ動く。言葉が届いた反応だ。
勇輝は続ける。
「その上で、制度には条件があります。働けない状態が続く場合、支援を継続するための確認が必要です。原因が呪いか病気か、あるいは別のものか。そこは、今の時点で決めつけません」
担当職員がはっとした顔をする。
「原因を断定しない……」
「福祉が扱うのは、原因の判定じゃなくて、生活の支え方です。だから『状態』を確認する。それなら、制度の枠に落とせる」
ルカが不安そうに視線を落とした。
「……確認、できない。僕、説明が下手で……」
「説明が下手でも大丈夫です。確認は、一緒に作るものです」
勇輝は言い切った。
「あなた一人に背負わせない。ここで必要なのは、あなたが協力できる範囲で情報を出すこと。逆に言うと、私たちも『分かる形』に整える責任があります」
加奈が、机の上の申請書の該当欄を指さす。
「この『呪い』って言葉も、ルカさんが困ってる状況を伝えようとして書いたんだよね」
「……うん。周りにそう言われた。僕も……そうなのかもって」
「分かった。じゃあ、言葉を変えてもいい? あなたが困ってるのは、眠れない、体が重い、仕事に行くと息が苦しい。ここは具体的に書ける」
ルカが、また小さく頷いた。
勇輝はそこで、窓口の最初の判断を出した。
「今日は、短期の生活支援を先に動かします。いわば緊急対応です。その間に、状態確認のルートを整える。支援を継続する場合は、一定期間ごとの確認が条件になります」
担当職員がメモを取りながら、確認する。
「緊急対応の枠で一旦つなぎ、継続の条件を明示する……」
「そうです。追い返さない。けれど、曖昧なまま継続もしない。どちらも避けます」
ルカの肩が、ほんの少しだけ下がった。
安心したというより、“次に何をするか”が見えた動きだった。
◆同日・福祉課 小会議室
相談室を出て、福祉課の小会議室で短い打ち合わせをした。
担当職員は、少し落ち着いた顔になっている。窓口の人間は、答えが見えないときに一番怖がる。答えが見えると、動ける。
「主任さん、状態確認って、具体的にはどうするんですか」
「基本は面接と生活状況の確認です。睡眠、食事、就労の試み、日常の動作。加えて、必要なら第三者の確認も入れる」
「第三者……医師の診断書みたいな」
「そう。ただ、異界の人の場合、医療機関にアクセスできないことがある。そこが今日の難所です」
加奈が言う。
「異界側の治療者、怖いっていう感覚も分かるよ。噂が先に立つし、言葉も違う。けれど、丁寧に説明してくれる人もいる」
「いるなら、その人と繋げたい。福祉課が単独で呪いを扱うのは無理がある。でも“状態確認の協力”なら、枠を作れる」
勇輝はホワイトボードに大きく書いた。
【福祉は原因ではなく状態を見る】
【原因は断定しない】
【状態確認は第三者協力を使うことがある】
【個人情報の扱いを明確にする】
美月が、ホワイトボードの前で首を傾げる。
「原因を断定しないって、でも本人は『呪いだ』って思ってるかもしれないですよね。その気持ちを否定しないで進めるの、けっこう難しくないですか」
「難しい。だから、言い方を作る」
勇輝は言葉を選んだ。
「『呪いかどうかは分かりません』と言うと、切り捨てに聞こえることがある。代わりに『今の状態を良くするために、確認と支援を進めます』と言う。本人の感じている不安を否定せず、制度ができることに繋げる」
福祉課の係長が頷く。
「言葉の置き方……」
「そしてもうひとつ、職員の怖さも減らす必要があります。呪いという単語に引っ張られると、何も書けなくなる。だから様式を作る」
「様式……」
「名前は大げさにしない。試行運用として、最低限の項目だけ。原因欄は作らない。状態欄だけにする」
そこへ市長が入ってきた。廊下で話を聞いていたらしい。
「新制度を増やしすぎるのは避けたいが、運用を支える道具は必要だな」
「はい。『認定』という言葉を先に立てると重くなるので、まずは協力関係の整理から始めます。協力してくれる治療者をリスト化し、守秘と説明の基準を揃える」
「なら、観光課や地域連携も巻き込める。異界の治療者は、町の中でも信頼の積み上げがある者がいい」
「同意です。加奈、心当たりがあるって言ってたよね」
「温泉街で働いてるエルフの薬師さん。説明が具体的で、怖がらせる言い方をしない人。必要なら私が橋渡しする」
勇輝は即座に頷いた。
「よし、その線で動こう。福祉課は、本人の同意を取ってから連絡する。個人情報の扱いは丁寧に」
福祉課係長がメモを取り、確認する。
「同意書、用意します。状態確認のために第三者に情報提供すること、提供範囲、保管期間」
「それでお願いします。運用の筋が通れば、職員も迷いにくくなる」
◆午後・温泉街 薬師の小さな診療所
温泉街の裏手、木の香りのする小さな建物に、エルフの薬師がいた。
白衣ではなく森色のローブ。棚には乾燥させた薬草と、瓶詰めの軟膏、湯気を閉じ込めたような石。けれど空気は落ち着いていて、診療所というより、相談を受ける場所の匂いがした。
「役所の方ですね。加奈さんから話は聞きました」
「急なお願いで、すみません。福祉の案件で、状態確認の協力をお願いしたくて」
勇輝が事情を説明すると、薬師は頷いた。
「原因の断定は、求めませんか」
「求めません。福祉が必要なのは『今、働くことが難しい状態か』と『回復の見込みや支援の方向性』です」
「それなら協力できます。私も、原因を一つに決めてしまうのは危険だと思っています。恐怖が強いと、症状が固定されることもありますから」
言葉が具体的で、役所の説明に近い。勇輝は少しだけ肩の力が抜けた。
美月が興味深そうに棚を見つめながら言う。
「すみません、こういう場合って『呪い』って呼ぶのがいいんですか。本人がそう書いていると、こちらも引っ張られるというか……」
薬師は微笑み、答えた。
「『呪い』という言葉は、怖さを運んできます。だから私は、まず症状を言葉にします。眠れない、息が浅い、体が重い。そこから原因をいくつか考える。呪いの影響が混ざっていることもありますが、それだけが全てではありません」
「なるほど……言葉を分解するんですね」
「分解しないと、対策が組めません。対策が組めないと、本人はさらに怖がります」
勇輝は、ここで協力の形を整えた。
「お願いしたいのは、状態確認の所見を短い文書にしてもらうことです。医師の診断書のように重くはしません。ただ、福祉課が支援の継続可否を判断する材料になります」
「形式は?」
「こちらで様式案を作ります。項目は、就労困難の有無、休養の必要、定期的な確認の推奨。原因断定の欄は作りません」
「同意します。原因欄があると、争いになりますから」
市長が、確認するように言った。
「発行者の責任が重くなりすぎない形にしたい。協力が続く範囲で」
薬師は落ち着いた声で返す。
「私も無理はしません。けれど、困っている者が制度に繋がるなら、最低限の言葉は出します。曖昧なまま放置されるほうが、本人にも町にも良くない」
その場で、運用の骨が固まった。
協力関係を結ぶ治療者は、福祉の判断を代行するのではなく、状態確認の協力者として文書を出す。
役所は、その文書と面接記録を合わせて支援を組む。
そして本人の同意と、情報の扱いを明確にする。
紙の上の約束は、現場で効く。役所は、それを知っている。
◆数日後・福祉課 相談室
ルカは、前回よりも少しだけ顔色が落ち着いていた。緊急対応の支援が繋がり、寝る場所と食べるものの心配がいくらか減ったのだろう。
不安が全部消えたわけじゃない。けれど、不安の中に“次の手順”があると、人は座って話せる。
隣には、エルフの薬師が座っている。
福祉課の担当職員は、最初に本人の同意を確認し、文書の扱いを説明した。
「本日の確認内容は、福祉支援の継続判断のために使います。原因を決めるものではありません。扱う情報は必要最小限にします」
ルカが頷く。
「……うん。分かった。逃げたくないから、ちゃんと話す」
薬師が言った。
「ルカさん、手を見せてください。触れずに観察します」
ルカが手を差し出す。黒い模様はまだ残っているが、前回ほど濃く見えない。
薬師は、光の粒を小さく浮かべ、模様の動きと呼吸のリズムを見た。魔法は派手ではなく、診察の道具として淡々としている。
「今の状態は、強い固定ではありません」
薬師は言葉を噛み砕いた。
「きっかけとして、嫌な出来事があった。そのときに受けた何かが、体と心の緊張を強くした可能性はあります。ただ、今見えているのは『回復できる範囲の疲労と恐怖』です」
ルカの目が揺れる。
「呪い……じゃない?」
「呪いという言葉に全部を入れると、出口が見えなくなります。出口を作りましょう。休養と環境の調整が必要です。まず睡眠。次に、怖い場所から距離を取ること。あと、呼吸が浅くなるときの対策」
薬師は、ここからが具体的だった。
「温泉街の静かな時間帯に短く湯に入る。夜に長くは入らない。食事は薄味で、温かいもの。外に出るのが怖いなら、最初は人の少ない道を選ぶ」
ルカが小さく頷く。
「……できるかも」
勇輝は、薬師の言葉を福祉の言葉に翻訳していく。
回復可能性があるなら、支援設計は“固定の支給”ではなく、“段階的な再開”に寄せられる。
働けない状態を支えるだけでなく、戻る道を一緒に作る。これが福祉の強さでもある。
薬師が、持参した紙に短い文章を書いた。
書式は、役所が用意した試行様式に沿っている。
『状態確認書(試行)
現時点で就労が難しい症状が認められる。休養と環境調整が必要。
原因の断定は行わない。
おおむね一か月後の再確認を推奨する。』
福祉課の担当職員が、受け取る手を落ち着けた。
怖さが消えたわけではない。ただ、“扱える形”になった。扱える形になれば、次の手順が動く。
「ありがとうございます。これをもとに、支援の継続と、次回確認の予定を組みます」
担当職員が説明する。
「支援は『困っている状態』に合わせて調整します。次回の確認で改善が見られたら、就労相談や職業紹介にも繋げられます」
ルカが、不安げに言った。
「……僕、また市場に行ったら、戻る?」
薬師が答える。
「戻る可能性はある。でも、戻らないように道具を作れる。怖い場所に一人で行かない。時間帯を変える。誰かに同行してもらう。そういう段取りだ」
加奈が頷き、言葉を足した。
「役所も、いきなり『さあ働いて』とは言わないよ。段取りを作って、試して、合わなかったら直す。暮らしってそういうものだから」
ルカが、しばらく黙ってから言った。
「……役所って、冷たいと思ってた。紙だけ見て、追い返すって」
勇輝は、その言葉を否定せずに受け止めた。
「そう感じたことがあるなら、それも事実だと思う。役所は公平でいるために、手順を重くすることがある。けれど、その手順の中で、支える道を作るのが仕事です」
「……支える道」
「うん。ルカさんが協力してくれるなら、こちらも道を作れる。あなたが困ってることを、言葉と記録にして、一緒に運用する」
福祉課の担当職員が、最後に確認した。
「次回は一か月後の状態確認です。それまでに、生活の困りごとが増えたり、急に苦しくなったりしたら、遠慮せずに相談してください。緊急の窓口もあります」
ルカが、はっきり頷いた。
「分かった。逃げない。ちゃんと来る」
◆夕方・ひまわり市役所 異世界経済部
戻り道、庁舎の廊下の窓から夕焼けが差し込んでいた。
今日の案件は、派手な魔法が出てきたのに、最後に残ったのは紙だった。けれど、その紙があるから、福祉課は明日から迷いにくくなる。本人も、次の一歩が見える。
美月が、部屋に戻って椅子に座り直しながら言う。
「『呪い』って単語、強すぎて全部持っていかれそうでしたけど、分解して『状態』に落とすと、ちゃんと手が届くんですね。なんか、今日の役所、かっこよかったです」
「かっこよさより、続くことが大事。明日も同じように扱える形になったかどうかが勝負だよ」
「でも、これ、運用の名前どうします? 『異界状態確認書』って、ちょっと堅いけど分かりやすい。広報に載せたら、『呪い診断書』って勝手に呼ばれそうで怖い」
「そこは、広報と一緒に文面を作る。誤解されやすい言葉は避けて、目的を先に書く」
加奈が、机の上のメモを見ながら言った。
「本人の同意と情報の扱いも、ちゃんと最初に説明したのが良かったね。異界の人、そこが曖昧だと一気に黙ることがある」
「うん。町内会の回覧板の件も、個人情報の扱いが肝だった。分野が違っても、結局は同じところに戻ってくる」
市長が、ふらりと部屋に入ってきて言った。
「今日の件、福祉課の職員が『動けた』のが大きい。窓口が動くと、町は息をする」
「動ける道具があれば、怖さが減ります。制度を増やすより、運用の足場を作るのが先です」
「それでいい。必要なら後から条例でも規程でも追いつかせる。まずは現場が回ること」
市長の言葉は短いが、今日に限っては芯がぶれない。
勇輝は、最後にメモを清書した。
紙の形は小さくても、積み上がると町の支えになる。
【異界状態確認書(試行)・運用メモ】
・目的:福祉支援の継続判断の材料とする(原因断定はしない)
・発行者:市が協力関係を結ぶ治療者(守秘と説明基準を共有)
・本人同意:情報提供範囲、保管期間、利用目的を明示
・更新:原則一か月ごと(改善状況により調整)
・併用:面接記録、生活状況確認、就労相談への段階的接続
書き終えると、窓の外はもう暗くなっていた。
異界の夜は静かだ。静かな夜ほど、心細さは増える。だからこそ、窓口がある。話す場所がある。明日の手順がある。
勇輝は、机の上のファイルを閉じて立ち上がった。
今日の仕事は終わりじゃない。明日、次の相談が来ても、同じように受け止められる形になったかどうか。それが、役所の仕事の続きを決める。




