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星と剣の英雄譚  作者: kito
王都編
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第20話 『作戦会議』


「じゃーん! 二人のためにオーダーメイドで作らせた特注品さ!」


 フィースが両手をバッと広げて、二着のドレスを見せびらかすように披露する。


 サイズは二人に合わせてしっかりと小さめのものになっており、レーアのドレスは星空を想起させるような美しい青のグラデーション、シロンのドレスは陽の光を浴びた雪景色のような眩い白色だった。


「えーっ! すごいすごい! きれい~!」


「む……動きづらそうだな……」


 無邪気に飛び跳ねて喜ぶレーアと、戦闘における実用性にしか目を向けていないシロン。


 二人の対照的な反応に、フィースも笑った。


「早速試着してみると良い! 僕は部屋を出て待っていよう!」


 そう言ってフィースが部屋を出ると、二人は着替え始めた。



「フィースさーん! 着替えたよ~!」


 レーアの声に反応して、フィースが部屋に戻ってくる。


「ほうほう……! なかなか似合ってるね、二人とも!」


「えへへ! かわいいでしょ!」


「サイズもピッタリだ」


 軽く身体を動かしながら驚いているシロンに、



「二人が寝てる間に採寸させてもらったからね!」



 そう悪気もなく言い放ったフィースを、シロンが殺意の籠った目で睨み付ける。


「貴様……やはり信用するべきではなかったか……!」


 今にも剣を抜きそうなシロンをレーアが静止する。フィースはその様子を見てヘラヘラと笑いながら『抑制の宝石』を懐から取り出して、机に置いた。


「こっちの調整も完璧だよ。起動させれば半径50m以内の魔道具の機能を停止させられるだろう」


 妖しい光を放つ宝石を見て、レーアが息を吞んだ。


「ほぁぁ……」


「さて、それじゃあ当日の段取りを確認しようか!」


 パンッと手を叩くと、フィースが目を細めて笑みを浮かべた。



「まず、二人には人の多い時間帯……昼くらいが妥当かな。昼になったら、城に入って正面に見える階段を上って三階にある玉座の間まで向かってもらう」


「怪しまれないように堂々と、だねっ!」


「そう! レーアちゃんはとにかく『普通』でいること! 非常事態でも起きない限り、好きに飲み食いしててもらって構わないさ」


「好きに……!」


 魅力的なワードに目を輝かせるレーアを見てシロンが軽く笑う。


「それで、一番の脅威である騎士団長だが、どうやって対処するつもりだ?」


「僕の道具を使って上手い感じにね! まあ、そこは心配しなくて大丈夫さ!」


 詳しい方法を聞こうと思っていたシロンだったが、はぐらかすようなフィースの答えに、聞いたところで答えないだろうと諦めた。


「団長さんの他に強い人はいないの?」


「他に脅威というと司書のレノくらいだけど……彼女は大丈夫だろう」


 フィースが少し思案する様子を見せたが、要らぬ心配と投げ捨てた。


「レノ……って、あのレノさん?」


「脅威と呼べるのかは知らないが……私たちが想像する彼女で合っているなら、フィースが大丈夫だという理由も何となく察しがつく」


「彼女は僕が知る限り、王都で一番強い魔法使いだよ」


 それを聞いた二人は驚愕に目を丸くする。


「え、えっ? あのレノさんが!?」


「信じ難いな……実際に会って話したレーアが、魔力量で気付けないものなのか?」


「彼女、普段は魔力を隠しているからね。実力を知られて、色々と駆り出されるのが嫌なんだろうさ」


 流石のフィースも、変な方向に才能を浪費するレノに呆れているのか溜息をつく。



「とにかく、魔灯の光が消えたら合図と言うことだな」


「そうだね! やることはシンプルながら難易度は高い。シロンちゃんの手腕に期待するよ!」


「私もがんばって食べるよ~!」


 三人はここに決意を固め、来たる大祝祭の日に向けて身体を休めたり、シミュレーションを行ったりしていた。



 あっという間に三日が過ぎて、大祝祭の日がやってきた。


 二人は目を覚ますと、いつもの冒険服ではなく正装であるドレスに身を包む。


「よし、バッチリ!」


「少しズレているぞ」


 シロンがそう言ってレーアの星形の髪飾りの位置を調整する。


「これで良いだろう」


「ありがと!」


 二人が部屋を出ると、


「あれ、フィースさん早いね?」


「あっはっは! 僕は色々と下準備があるからね! じゃ、二人も頑張って!」


 そう言い残し、いつもの白衣とは正反対の黒いコートに身を包み、フィースが家を出ていった。



「私たちも頑張ろうね、シロン!」


「ああ。王都の民を、私たちで救ってみせよう」


 二人は意気込み、朝食を取ったり雑談したりして時間を潰した。



 しばらくすると外が賑やかになってきて、見れば時計の針は既に昼を差していた。


「そろそろ行こうか」


「うんっ!」


 家を出ると、城への道が人で埋め尽くされていた。

 王都の人口に改めて驚きつつ、これだけの人数に危機が迫っているのだと緊張感を持つ。


 祝祭の喧噪と人の波に呑まれながら、二人は王城へ向かった。

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