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星と剣の英雄譚  作者: kito
王都編
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第19話 『高原荒らし』


 二人がまたミノタウロスの群れを見つける。


 その群れは大きく、周りの建造物を見ても『群れ』というよりは『集落』といった雰囲気だった。


 レーア達はその集落を少し離れたところから観察していた。


「見た感じ変異種はいないようだ。数は多いが、奴さえ居なければ問題ないだろう」


殲滅すべき敵を見据えるシロンの隣で、レーアも本に魔力を込める。



「……思ったんだが、お前は常に飛行して戦っていれば安全なんじゃないか?」


 シロンがふと浮かんだ疑問をレーアに投げかけた。


「あれね、高く飛べば飛ぶほど魔力がいっぱい減っちゃうんだよ。だから『ほんとに危ない!』って時とか、『相手の強さが分かんないけど戦わなきゃいけない!』みたいな時にだけ使うつもり!」


「なるほどな」


 納得の色を見せたシロンが改めて、集落の方に目をやる。


「私が先行してかき乱してこよう。隙を見て叩いてくれ」


「うんっ!」


 シロンは地面を蹴って集落まで駆けて行き、周囲のミノタウロス達の警戒を引いた。



「さあ、かかってこい」


 ミノタウロス達は一斉に斧を手にシロンに向かってくる。


 その場で飛び上がると、向かってきたミノタウロスの頭を蹴って包囲を抜け、姿勢を低くして辺りを駆け回った。

 次々に聞こえる斬撃音とミノタウロスの悲鳴を聞いて、レーアも本を手にスーッと低空飛行しながら近づいてくる。


「『アストラル・スラッシ(流星斬)ュ』っ!」


 練られた魔力と共に星の斬撃が飛び、数体のミノタウロスを切り裂いた。



 やがて、全てのミノタウロスを片付けたシロンが一息つく。


「……やれやれ。元気な奴だ」


 倒れるミノタウロスに腰掛けて休憩するシロンが、お宝を探して集落を走り回るレーアを見て溜息をついた。


 すると、レーアが何かを持って戻ってきた。


「何か見つけてきたのか?」


「うん! 見て見て~!」


 握った手を広げると、そこには二つの指輪があった。

 片方には緑の宝石、もう片方には青の宝石が埋め込まれている。


「ふむ……指輪か。恐らく、何らかの能力を増幅させる装飾品だろう」


「おおーっ! じゃあ早速つけてみようかな?」


 そう言って青の宝石が埋め込まれた指輪をはめようとするレーアを、シロンが静止する。


「待て、まだ確実にそうと決まったわけではない。ひとまず保管しておき、王都に戻ったらフィースに鑑定してもらうのが良いだろう」


「そ、そっか! もしかしたらつけた瞬間死んじゃうかもしれないし……っ!」


 顔を青ざめさせて冷や汗を流すレーアを見て、シロンは苦笑した。


 気付けば空が暗くなってきており、二人の疲労も溜まっていた。


「今日はここで夜を明かすとしよう。幸い、周りに肉も転がっているしな」


 シロンは辺りの建造物を斬って木を集めると、ミノタウロスが武器として使っていた斧に剣を叩きつける。

 散った火花が集めてきた木に触れて、一気に燃え上がった。


 シロンが斬り分けた肉に、レーアが星で形成した串のようなものを刺し、焚火で焼く。

 二人はそれを食べ終わると、すぐに眠りについた。



 次の日、二人は再び高原を駆け回って群れや集落を潰していき、指輪やネックレスと言った装飾品を多く見つけた。


 同じように高原で過ごしていると、気付けば一週間が過ぎていた。



「……大祝祭まであと三日か。そろそろ戻っても良いかもな」


「見つけた装備の効果も気になるしね!」


 元気よく答えるレーアのポーチには、高原で見つけた指輪やネックレス、ブローチ等の装飾品が大量に詰め込まれていた。


 成果も十分と考えた二人は平野に降りて、王都周辺のモンスターを倒しながら帰路についた。


 フィースの家に戻ると、彼はリビングの椅子に座っていた。


「二人ともお帰り! そろそろ帰って来る頃だと思ってたよ!」


「ただいま~!」


 そう言って二人も椅子に座り、レーアがポーチを逆さにして机の上に戦利品を転がした。


「あっはっは! また随分とたくさん拾って来たねぇ!」


「鑑定を頼みたい。できるか?」


 シロンが尋ねると、フィースは小さな丸い鏡のようなものを取り出す。



 それを目に当てて机に散らばる装飾品をその目に映していき、やがてフィースが鏡を仕舞った。


「この指輪はシロンちゃんに、こっちの指輪はレーアちゃんに、それぞれ相性の良い装備だと思う!」


「感謝する。私たちに必要ないのであれば、残りはお前に譲ろう」


「あっ、私がつけようとしてたやつ! わーいっ!」


 そう言ってレーアが受け取ったのは、一番最初に拾った青の宝石が埋め込まれた指輪だった。


「シロンちゃんの方は『力の指輪』、名前の通りシンプルに着用者の筋力を増幅させるものだ。レーアちゃんの方は『魔力の指輪』。こっちも名前の通りで、着用者の魔力を増幅させる効果がある」


「筋力か……足りないパワーを補えるというのはありがたいな」


「私も、魔力が増えて困ることはないからね! 運が良かったのかな?」


「こういった一つの能力を増幅させる装飾品というのは別に珍しくない。需要もあり、汎用性もあるから、出回る数も多いのさ!」


 フィース曰く、二人が拾って来た他の装飾品は『髪の毛が伸びる』、『声が大きくなる』といったように、ふざけた効果ばかりだったという。

 それらを持って、フィースが部屋を出て行った。


 大祝祭も三日後に控えているということで、二人は決行日まで身体を休めることにした。



 椅子に座ってくつろいでいると、戻って来たフィースが『抑制の宝石』と、レーアたちが当日着ることになる "正装" を持っていた。

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