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星と剣の英雄譚  作者: kito
王都編
12/37

第11話 『戦闘訓練』


 改めて地図を見るレーアたち。


 次の目的地であるラステア跡地は、王都からはかなり離れた場所にある。


「しかも、ラステア周辺はどの国の統治下にも置かれていない。強力なモンスターも蔓延っていることだろうね」


 珍しくフィースが険しい顔をするのを見て、それだけ危険な場所であるのだとレーアは不安を感じる。


「この世界で生きていくのに、力は必要だ。戦闘経験は積んでおくべきだろう」


「うん、僕からもそれをおすすめするよ! 君たちの旅の行く末は気になるからね! 半ばで倒れる、なんてつまらない終わり方は御免だ」


 シロンの言葉にフィースの後押しもあり、レーアも意を決する。



「じゃあ……今日からは外でモンスター討伐をします!」



「レーアちゃんたちならすぐに強くなれるさ! 頑張っておいで」


「私は基礎的な身体能力には自信がある。故に、技術を磨くとしよう」


 盛り上がるレーア達の横で、シロンが腰の剣に手を当て、静かに決意を固める。




 二人はフィースの家を後にして、王都の外に出てきていた。


「やあっ!」


「グオォォォッ!!」


 可愛らしい掛け声とは裏腹に、凄まじい威力の星を飛ばすレーア。


 二人が倒し続けているのは、熊型のモンスターである『ワイルドベア』だ。


 生半可な力では刃を通すことすらできないほど硬い毛皮に覆われた肉体に、巨体に似合わぬスピード、低級の鎧であれば軽く引き裂く攻撃力を持った鋭い爪。

 王都周辺のモンスターの中ではかなり強いはずなのだが、二人は大して苦戦することもなく倒し続けていた。


「ほっ! やっ!」


 数体のワイルドベアに囲まれても、次々に星を飛ばして撃退していく。

 飛ばした星の一つはワイルドベアの頭部に穴を空け、一つは首を跳ね飛ばし、また一つは胴体を真っ二つに切り裂いた。


「どうだ! 私の星魔法はっ!」


 レーアは自らが扱う星の力を『星魔法』と名付け、着実にその精度を上げていった。


 先程から彼女が使っている星魔法は二つ。

 一つ目は、星に魔力を込めて、速度と威力を強化した状態で射出する『スター・ショット(星弾射出)』。二つ目は、手に星の光を集中させて振るうことで、遠距離に光の斬撃を飛ばす『アストラル・スラッシ(流星斬)ュ』。


「グルァァァァアア!!」


「わっ!」


 死角から振るわれた爪だったが、それがレーアに届くことはなかった。


 星々は意思を持っており、常にレーアを守るために動く。

 そのため、意識外や死角からの攻撃であっても、即座に束になって防御してくれるのだ。


「とりゃっ!」


 死角からの攻撃が防がれたことで怯んだワイルドベアに、レーアは『スター・ショット』で反撃する。

 まだ空も明るく視認しづらい光での攻撃な上、ワイルドベア程度のモンスターでは知覚することすらできないほどのスピードの攻撃に、為すすべなく倒れ込んだ。




「甘い」


 少し離れた場所で、レーアと同じくワイルドベア相手に戦闘を行っていたシロンは、華麗な身のこなしでワイルドベアの猛攻を避けながら、次々と斬り捨てている。


 レーアの星魔法が猛威を振るう一方で、シロンは戦闘技術の面で目を見張る成長を見せていた。

 紅の双眸に攻撃を映し、その全てを躱し続けている。未だに、シロンの身体にはかすり傷一つ見えない。


「そこだ」


 シロンは、その素早さと身体の小ささを利用して、死角に回り込んで一撃で殺すという戦法を取っていた。


 そして、岩や敵などの障害物で死角に回るのが難しく、正面から向かわざるを得ない場合も、突進しながら交互の足で地面を蹴って、ジグザグに敵に向かったりと工夫をしていた。


 最後の一体も正確に心臓を突いて絶命させると、ゆっくりと引き抜いて剣を一振りし、べっとりと付いた血を払い落とした。


「はぁ……はぁ……、この程度で息切れとは、情けない……」


 無傷でワイルドベアの死体の山を作り上げ、尚も本人はその結果に満足していない様子だった。

 ちらとレーアの方を見ると、彼女も群がって来たワイルドベアは一通り倒し終えたようだ。



「レーア、無事か?」


「うん! この子たちが強いのはもちろん、私も魔力の扱い方が上手になってきてる気がするっ!」


 星魔法を人に見られると色々と面倒だという理由で、二人は王都から少し離れた場所で戦闘を行っていた。そのため、辺りに生息していたワイルドベアが、他に襲う対象がおらず、二人にだけ群がっていたというわけだ。


「まあ、王都周辺では強敵とされるワイルドベアの大群を相手に無傷。初日にしては上々だろう」


「私はみんなに守られてばっかりだったけど!」


 ともあれ、想像以上の成果を挙げた二人は、日が暮れてきていることもあり、足早に王都へと帰って行った。

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