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星と剣の英雄譚  作者: kito
王都編
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第10話 『広がる交流の輪』


 朝食を食べ終えた二人はフィースの家を後にして、再び王城へ向かっていた。


 フィースが言うには、王都にいる間はフィースの家で寝泊まりして良いということらしく、二人もそれに甘えることにした。


「ふふ、もう慣れちゃったもんね!」


 とんとんと城前の階段を駆け上がっていくレーア。段々と星の力の使い方が洗練されてきているようだ。


「お前の場合、慣れた頃が一番怖いのだがな」


 素の身体能力でレーアに並び階段を駆け上がるシロンがそう呟いた。


 二人は城内に入ると、まずは本を返却するために図書館へ向かう。



「……あぁ、ちゃんと返しに来たのね。偉いじゃない」


「えへへ!」


 司書のレノは、今日は起きていたようだ。

 もっとも、仕事をしている様子はなかったが。



 二人は図書館を出て、今度は反対側の通路に向かう。


 通路の右側には扉が並んでおり、左側を見れば、こちらにも庭園があった。


「こっちの庭園には噴水があるんだな」


「すごい綺麗!」


 庭園を眺めながら歩いていると、あっという間に奥までたどり着いた。


 図書館と同じように大きな扉があり、中に入ると正面に大きな像が見える。

 人は少なく、教会内に並べられた長椅子を見ると、数人が座って祈りを捧げているようだ。


「私たちもお祈りしてみよっか?」


「そうだな。旅の無事でも祈っておこう」


 二人は近くの長椅子に座ると、像に向かって手を合わせ、目を瞑って祈り始めた。




 これからの旅が平穏なものでありますように。


 そして何より、楽しいものでありますようにと。




 目を開けると、隣に一人の女が座っていた。


「こんなに若いのにお祈りだなんて、感心ね」


「わっ、ありがとうございます!」


 急に隣に現れた女に驚きつつ、レーアが返す。


「あれ? お姉さんはどうして他の人と違う服を着てるの?」


 他の信徒は黒を基調としたローブを着ているが、女が身に纏っているのは白を基調としたローブ。


 レーアの疑問に、女は指を立てて説明する。


「私は王都の信徒じゃないからね。オリディア教国の聖都ミレアスってところから来たの。知ってる?」


「し、知らない……」


「私たちは今まで森で暮らしていたから、この世界に疎いんだ」


「そんな修行みたいなことしてたのね……」


 女は懐から世界地図を取り出し、二人にも見えるように広げた。


「ほら。これがオリディア教国で、ここが聖都ミレアスよ」


 地図を見ると、聖都ミレアスはエルガルドからそれほど離れていない場所に位置していた。


「時間ができたら、遊びに行ってみるのも良いかもっ!」


「あなたたちみたいな可愛い子なら、いつでも歓迎するわ」


 女は地図を仕舞って立ち上がると、


「私はルイネ。もし聖都で会うことがあれば、その時は案内してあげるわね」


 そう言い残して、教会を出て行った。



 二人もしばらくお祈りをした後、教会を出る。


「今日はどこの城下町に行こうかな?」


「まだ日も高い。今日中に全て回ってしまっても良いだろう」


「ええっ? でも王都は広いってフィースさんも言ってたし……」


「何も王都内を隅から隅まで回り尽くすわけでもないだろう。観光しながら食べ歩く程度であれば問題ないと思うが」


「た、食べ歩き……!」


 レーアの方を見ると、瞳をキラキラと輝かせている。


「決まったようだな」


 シロンが言うより早く、レーアが駆け出した。




 まず見つけたのは香ばしい香りのする肉だ。

 レーアは店頭に飛びつき、硬貨をからからと置いた。


「これください!」


「あいよっ!」


 次に見つけたのは、もちもちとした菓子。

 見ると、それに色々なタレを塗って食べるみたいだ。


「いい匂い! それください!」


「はいはい」


 両手に口にと食べ物を詰め込み、まだレーアは止まらない。



「むー! むむ、むむーっ!」


「……飲み込んでから喋ってくれ」




 そんな調子でシロンが振り回され続け、ようやく日が傾いて来た頃。


「ん? 気づいたら南城下町に戻ってきちゃったみたい!」


「ああ。一周してきたな」


 二人が並んで歩いていると、フィースの姿を見つけた。


「あっ、フィースさーん!」


 レーアがそう言って手を振ると、こちらに気づいたフィースも手を振り返してくる。


 合流した三人は、そのままフィースの家に向かった。

 簡単に食事を取りながら、今日を振り返る。


「それで、今日はどうだった?」


「楽しかった!」


「疲れた」


 ほぼ同時に返ってきた対極の答えに、フィースが手を叩いて笑う。


「そういえば、フィースさんって聖都ミレアスって場所、知ってる?」


「ああ、知ってるとも! 三大都市の一つ、オリディア教国の聖都ミレアスだね!」


 恐らくは一般常識なのだろう。スラスラと答えるフィースに、レーアが「おおっ!」と声を上げた。


「三大都市とは?」


「おっと、そうだね! この機会に簡単に説明しちゃおうか!」


 フィースが立ち上がり、後ろの棚から一枚の紙を取り出す。


 それを机に広げると、教会でも目にした世界地図だった。


「三大都市はその名の通り三つ。一つ目はここ、エリシア王国の王都エルガルド」


 フィースは指を差しながら説明する。


「二つ目は二人も聞いた、オリディア教国の聖都ミレアス。そして三つ目は、ロネスディール山脈にある『工業都市カルテト』だ」


 初出の言葉に、レーアの好奇心が刺激された。


「工業都市……! 楽しそうっ!」


「あっはっは! いいねえ! レーアちゃんは冒険者に向いていると思うよ!」


 シロンはその横で、世界地図を眺めていた。


「この地図はどこで手に入れたんだ?」


「欲しいのかい? そこらの雑貨店に普通に売ってるし、別に欲しいのなら持って行ってくれて構わないさ!」


「ふむ、それは助かるな」


「フィースさんありがと~!」


 こうして二人は、この世界の地図を手に入れたのだった。

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