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3 ネネリさん、里に帰って祠行きになるなど

2024年10月1日から21日までです。


祠は人が住めるタイプです。

ネネリは里長に、トトルとリリエ、そして双子のことは伏せ、太陽のランプの館に行き、なんとか決まった時間に太陽に行き帰りしてもらえるようになったことを伝えました。

持ち帰ったパンのようなものは、里の皆で分けることになりました。


ネネリが炊事場に戻り、皆との再会を喜んでいると、再び里長に呼ばれました。

里長の後ろでは、里の年配の者が集まり、ひそひそしながらネネリを見ています。

ネネリが里長にどうしたのですかとたずねると、里長は、もう炊事場で働かなくとも良い、ゆっくり休むが良い、と、里の祠の中にある一室にいくように言われました。

長旅ご苦労であった。しばらく休みなさい。

ネネリは休まなくても大丈夫と言いましたが、聞き入れてもらえませんでした。


祠は北に面しており、薄い光しか差し込みません。

炊事場では今頃食事の支度をしているのだろうな、と、木しか見えない窓の外をネネリはぼんやりと眺めました。

窓の外から、ノノエの声がしました。

おなかがすいているでしょう。

ご飯を持ってきてくれたのでした。

ノノエはとても怒っていました。


冥府のようなところに行った者が作った飯なんぞ安心して食えんわ!って言った人がいて、それでネネリが炊事係から外されてしまったのだけれど、そういうことを言う割に、ネネリがお土産に持って帰ってくれたすてきな食べ物は、1人一つだって言っているのに、いくつもとって食べようとするのよ! 信じられない!

ノノエは、なんとか祠から出られるようにするから! と言って、戻っていきました。

ごはんを食べて、ネネリは少し元気が出てきました。


数日たち、ノノエが日持ちする食材を抱えてやってきました。

街の長が代替わりし、嫁を探しているという話が里にも届き、里を出たがっていたティティカが手を挙げ、嫁選びの儀に出るための準備でしばらく忙しくなるとのことでした。

何か手伝う? とネネリがたずねると、

ノノエは言いにくそうに、ティティカの親がネネリのことを冥府のような場所に行った者と言っていたことを教えてくれました。

ネネリはいろいろと察しました。


里の中がティティカの街への出立の準備に追われている頃、里長が旅人を連れて祠へとやってきました。

里長と同じくらいの年頃の旅人は、どこかリリエを思い出させる顔立ちでした。

里中が慌ただしく、旅人をもてなせる場所が祠しかなかったのだと里長は言いました。

ネネリはお茶と、少しだけ残しておいたパンのような者を旅人に出しました。

パンのようなものを一口食べた旅人は涙を流しました。


旅人は言いました。

人を探しているのです。と。

街で長が亡くなり、その役を長の子が継ぐはずだったのだが、若君の子が双子だったため、長の弟とその一派が街に不幸が!と、遠い場所に連れて行ってしまい、若君とその妻が探しに行ってしまった時に、亡くなった長の弟が、新しい長になってしまった。

とのことでした。

このパムは、娘がよく作ってくれた者に味が似ているのです。

ネネリはもう一つパムを勧めてから言いました。

リリエさんのお父上でしょうか。


リリエにあったのかい?

旅人は言いました。

ネネリは太陽のランプの館で出会ったことは伏せ、トトル、リリエ、そして双子たちが安心できる場所に落ち着いていることを伝えました。

よかった! と旅人は大きく息を吐きました。

里長が旅人にたずねました。

嫁を求めていたのは、若君ではなくなくなった街長の弟ですか?

旅人はうなずきました。


前の街長の弟に嫁ぐ事を知らず、若君に嫁ぐつもりだったのだとしたら、ティティカが少し気の毒かもしれない、とネネリは言いました。

里長は、まあ大丈夫だろう、と言いました。

ティティカは人に嫁ぐのではなく、立場に嫁ぎたいだけだから。と。

旅人は言いました。

立場ではなく、人に使えていたので代替わりした弟に使えるつもりはないのです。

出来れば若君の元へ行き、仕えたい。

そう考える者もそれなりにおり、街を出る準備をしているのです。


ネネリは考えました。

どうしたらランプの館にいるトトルとリリエにお父上の思いを届けることが出来るのかしら。ネネリが館から戻って以来、太陽は規則正しい動きをしていて、野良の太陽を見つけるのは難しそうです。


ネネリは祠の外を見ました。

ちょうど、その辺をうろついている太陽を見つけました。

あ! 太陽さん!

野良じゃないもん。

あ、ごめんなさい。

太陽と会話するネネリを、里長と旅人がうろんな目で見ていることに気がつきました。

誰と話をしているんだい?

え!?


ネネリはびっくりしました。

先日私がお世話になりました太陽さんです。

太陽がぺこりとお辞儀をします。

人間は認識したいモノだけを見て生きています。

認識できないモノは見ることが出来ません。

ネネリは太陽にかくかくしかじかと説明し、トトルとリリエに言伝をお願いしました。


里長さん、今何か見えましたか。

いえ何も……。

そうですか。私にも見えなかったのですが、亡くなった妻が、私には見えない何かと話をしていたことがありまして。ネネリさんにも、我々には見えない何か、を見る力があるのかもしれませんね。


ネネリは里長と旅人に生ぬるいまなざしで見られている気がしました。

(生ぬるく見守りましょう! そうしましょう!)

里の中心から賑やかな音楽が聞こえてきました。

ノノエが里長を探しにやってきました。

ティティカが里を出るのを見送るためです。

ネネリは来なくてよいと伝えてと言われた! 私もここにいる! とノノエが怒っておりました。


拳をぐっと握りしめるノノエをネネリはなだめました。

ノノエはティティカのお付きの人として、街に連れて行かれるところだった、とのことでした。

ノノエは気が利くし、仕事は出来るし、一緒に行って欲しい気持ちは分かります。

ですが、本人が望んでいないのに勝手に決めてはいけない気がします。


新しい街長は横柄で人を道具としか見ていない。前の街長に使えていた者たちは、ひどい扱いを受けてどうやって逃げ出すかを考えているところだ。街に行くことは勧められないよ。

旅人は深いため息をつきました。

ネネリはそんなところでティティカがやっていけるのだろうかと心配になりました。

ノノエが首を振りました。

そんな中、なにやら祠に近づいてくる影がありました。


ティティカ様がこの祠に随行する娘がいるから呼んできてとのことだったのだが。

影がネネリとノノエを見ました。

そしてその後ろにいた旅人を見ました。

ニニド! どうしてここに。

父上!

影と旅人は親子のようです。

ニニド、おまえはしばらく街には戻らない方がいい、と影は言いました。


ティティカ様に随行するのはどちらのお嬢さんかね?

影が問いました。

ノノエが私ではないですぅ、という顔をしました。

よほど行きたくないようです。

ネネリは意を決しました。

私"も"行くから。

ノノエの顔が晴れやかになりました。

ネネリは一瞬、早まった? と思いました。


旅人は、里長が戻るまで祠にいましょう、と言い、ネネリとノノエを見送ってくれました。

影につれられて、ティティカの元に向かいましたが、ふと冥府のような場所に行ったと言われる自分が同行するのを、ティティカはいやがるのではと思いました。

そのことを影に伝えると、影はネネリに、自分と一緒に動けば良いと言いました。

ノノエは、街に行くのが私だけではないのならば大丈夫、と言いました。


ネネリは影に灰色の布を渡され、頭からかぶり、顔を隠すように言われました。

3人がティティカの元に行くと、遅いじゃない! とおかんむりでした。

ティティカは身内との別れを惜しんでおりました。

目を赤くしたティティカの母が、幸せにおなりよ、とティティカの手を握りました。

大丈夫よ母さま。冥府に行くわけではないですもの。


一方その頃

トトルとリリエに言伝があったけど、自分には何もなくて青年が凹んでおりました。

しょぼん。

ティティカを出してしまったがために、話が長くなることになりました。

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