13 ネネリさん 飛翔するなど 一
え、太陽さん?
ネネリが驚くと、太陽はもう一度お姉さんにもどりました。
それじゃ、行くわよ!
行くってどこへ?
だって私の寝床、使えないんだもの。
お姉さんはネネリの手を取りました。
ネネリが立ち上がると、お姉さんの体が浮き、ネネリを引っ張りました。
ネネリの体も浮かびます。えーっ!?
そうだ私は寝ているんだ、これはきっと夢なんだ。
ネネリはひとまずそう思うことにしました。
お姉さんは高く高く飛び上がり、ポンッと言う音とともに、周りの景色が、空気が変わりました。外に出たようです。
空気はとても冷たく、ネネリはどんどん寒くなってきました。
歯がカチカチと音を立て、震えが止まらなくなりました。
あ、ごめんね、ヒトには寒い高さだったわね。
お姉さんが慌てて一枚布をかけてくれました。
震えが落ち着いてきた頃、見覚えのある山が見えてきました。
ネネリの暮らしてきた、里のある山でした。
泣いている声が聞こえます。
ティティカのお母さんです。
輿入れのために行くと行っていたのに、行方不明とはどういうことですか! ほんの少しの銀のために、娘を失ったと言うことですか!
銀はお返しします。だから娘を返してください!
本当はノノエに嫁ぐ話が来ていたのに、あなたがティティカにって言うから! ヒトの役目を奪うからこんなことになるんです!
そうだったのか、とネネリは思いました。
どうりで、まだ幼いティティカが輿入れ候補になるのは変だったわけです。
そのノノエも行方不明だそうじゃないか。
ネネリも随行したんだろ、あいつが冥府に連れて行ったのかもしれんなあ。
酒びんを抱えたティティカの父が、酒臭い息を吐きながら言いました。
よしなさい! と里長がたしなめました。
ネネリはティティカのお母さんに、ティティカは大丈夫ですよ、と伝えたいと思いました。ティティカは里に帰っても良さそう……うーん、ティティカのお父さんを見ていると不安が残ります。
里長が一番つらそうでした。
そもそも私がネネリを太陽のランプの館に向かわせていなければ、と。
そんなことはありませんよ、と旅人が里長を慰めていました。
いつか収まるべきところに収まりますよ、と。
旅人の手のひらから、一筋の黄色い煙が見えました。
その後、お姉さんは里の炊事場に連れて行ってくれました。
ノノエとネネリが行方不明なんだって?
炊事場にいる女性たちが話をしています。
ノノエとネネリなら大丈夫だよ。
あの子たちはどこでもやっていける、そういう風に育てたじゃないか。
淋しいけれど、里にとどまるよりも、いろいろな場所を見ることが出来る。そういう力を持っているよ。
女性たちの話を聞いて、ネネリはさみしさとうれしさと、気恥ずかしで少しもじもじしてしまいました。
お姉さん、寄ってくれてありがとう。
お姉さんはにっこりと笑いました。
ネネリは里に別れを告げました。




