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Humanity Magi  作者: やばくない奴
未来への希望
68/71

自己犠牲

 あれから三日後の、日曜の夕方のことである。日本中のチャンネルが電波ジャックを受け、テレビ画面には山奥に佇む奏美(かなみ)の姿が映し出されていた。彼女は先ず、マグスに対する謝罪の旨を表明する。

「マグスの皆……落ち着いて聞いて欲しい。人間たちは皆、敵を見誤っていた。このことについて、人間を代表し、ワタシの口から謝罪させてもらう。皆、本当にすまなかった」

 無論、御鷹(みたか)もこの放送を見ていた。この時、彼は愛恋(あれん)瑞葉(みずは)、そして(ゆう)と共に食事を楽しんでいた。テレビに映し出された奏美の姿を前にして、彼の顔色は一変する。

「愛恋……すぐに奏美のところに行くぞ」

「……何があったの?」

「この間、俺は奏美に一つ頼み事をしたんだ。俺の体をメタルミストに変え、俺のことを真犯人に仕立て上げるようにな。もちろん、その案は却下された。もしかしたら、奏美は今、俺の代わりに……」

 その言葉に、愛恋たちの箸は止まる。彼らは皆、奏美が改心したことを知っている。

「すぐに行く必要があるね。奏美がこの研究所を飛び出してから、まだあまり時間は経っていないはずだ。臭いを辿っていけば、必ず奏美の所に辿り着く」

 もはや彼らに時間はない。愛恋はすぐに狼に変身し、御鷹はその背中にまたがった。御鷹は祐の方へと目を遣り、彼に指示を出す。

「祐は瑞葉を連れて、官邸を襲撃してくれ。アンタらの強さを知らしめ、首相を脅し、国家が隠蔽してきた事実を全て公に認めさせるんだ!」

 その指示を、二人は快く受け入れる。

「ウェーイ! 任せてよん! 全ては、ユグドラームの意志のままに!」

「ユグドラームの意志のままに」

 祐と瑞葉は、すぐに研究所を後にした。愛恋は御鷹を背に乗せたまま、脱兎の如く走り始める。一刻も早く到着しなければ、奏美は処刑されることとなるだろう。

「急ぐぞ! 愛恋!」

「うん!」

 彼は研究所を飛び出し、全力疾走で臭いを辿っていった。



 数分後、多くを語り終えた奏美は、いよいよ話を締めくくろうとしていた。彼女は息を呑み、覚悟を決め、口を開く。

「人間とマグスを争わせ、多くの命を奪ってきた元凶は……全ての黒幕は……」

 彼女がそう言いかけた時である。


桜神靱(おうがみじん)だ!」


 突如、その場に御鷹の声が響き渡った。奏美が振り向いた先には、狼にまたがった彼の姿がある。彼が背中から飛び降りるのと同時に、愛恋は変身を解く。二人は、彼女の自己犠牲を阻止しに来たようだ。

「そうだ、ワタシが桜神靱だ!」

 奏美は慌てて、カメラに向かって叫んだ。御鷹は間髪入れずに、彼女の発言を否定する。

「違う! アンタは海邦奏美(わたくにかなみ)だ! そして俺もアンタも、この放送を見ている皆も、等しく桜神靱の被害者なんだ!」

 彼はそう言ったが、奏美は引くに引けない状態だ。

「ワタシはアナタの脳にナノマシンを埋め込み、多くのマグスの命を奪った。ワタシは……許されないことをした。だからワタシが背負うしかないんだよ……御鷹」

「よせ! 奏美!」

「人間とマグスが争えば、ワタシの作った武器が売れる。ワタシたちの仕事も増える。ワタシはマグスウィルスを撒いたことにより、大きな利益を……」

「いい加減にしろ!」

 御鷹は激昂し、奏美の頬を引っ叩いた。奏美は唖然としつつ、頬を押さえながらその場にしゃがみ込む。そんな彼女を抱きしめ、愛恋は微笑む。

「一人で背負う必要なんてない。これから、全ての真実を語ろう」

「本当に、それで上手くいくのか?」

「君は御鷹を、本物のヒーローと認めてくれた。君は、御鷹の正義が勝つことを信じてくれた。今も、御鷹を信じてくれないか?」

「……そーだね。ワタシが間違っていたよ」

「さあ、全てをここで明らかにするよ」

 彼は奏美の頭を撫で、それからおもむろに立ち上がる。続いて、彼はカメラの方へと目を遣り、全ての真相を語り始めた。

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