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Humanity Magi  作者: やばくない奴
全ての元凶
55/71

特殊な個体

 しばらくして、奏美(かなみ)も駅に到着した。彼女も御鷹(みたか)と同じく、ガスマスクと防護服を着用している。

「御鷹! 御鷹はいるか!」

 彼女は人混みを掻き分け、御鷹の姿を探す。御鷹はすぐにその声に気づき、慌てて彼女の方へと向かう。

「奏美! 一体、どうしたんだ⁉」

「御鷹! すぐにマグスの集落へと向かえ!」

「集落に? 一体、どういうことだ?」

 突然の指示に、彼は少し困惑した。奏美は息継ぎ一つせず、次の言葉を紡いでいく。

竜也(りゅうや)がここに来ていない。そして、ウィルスによるテロが発生している今、人間はメディカを必要としている! つまり……アイツは今……」

 そう――――彼女一人だけがここに来たことは、竜也が例の集落を襲撃していることを示唆しているのだ。当然、彼女が愛恋(あれん)と和解したことを知らない御鷹は、怪訝な顔をするばかりだ。

「確かにそうだな。しかし、何故アンタがマグスを庇うんだ?」

「詳しい話は後だ! ただ、ワタシはアナタが釈放されたことを知っている! それだけでも、ワタシが愛恋と手を組んだ証拠としては充分なはずだ! ワタシを信じろ! 御鷹!」

 奏美の目は本気だ。御鷹には、それが嘘をついている人間の表情には見えなかった。

「……事情はわからないが、今だけはアンタを信じる!」

「ありがとう。ここはワタシが引き受ける……早く行け!」

「ああ、わかった!」

 彼は脱兎の如く駆け出し、新宿駅を後にした。彼はメタルミストをバイクに変形させ、道路を疾走していく。

「無事でいてくれ……愛恋!」

 集落に到着するまでは、ただ祈ることしかできない。彼はただひたすらバイクを走らせ、国道に乗り込んだ。



 それから一時間もしないうちに、御鷹は集落に到着した。彼の目の前では、軍隊に囲まれた愛恋が地に膝を突いている。その背後で身構えているのは、瑞葉(みずは)だ。魔法を使うための装置を持った軍勢を率いるのは、竜也である。

「遅かったじゃないか。御鷹」

「竜也! こんなことはやめろ!」

「今ここでマグスを狩らないと、多くの人間が死ぬことになる。違うか?」

「ああ、確かにそうだ! だが、そのためにコイツらを犠牲にして良い理由にはならない!」

 御鷹は集落のマグスたちに嫌われた身だが、それでも彼らを守ろうとしていた。竜也はため息をつき、軍隊に指示を出す。

「御鷹は僕が倒す。君たちは、瑞葉を殺せ。これはミッションだ」

 軍人たちはすぐに機械を使い、様々な魔法で瑞葉に攻撃する。瑞葉は飛来してくる攻撃を氷の防壁で防ぎつつ、手元に氷のブーメランを生成する。彼女の投げたそれは円弧を描き、軍人たちの命を狙う。何人かはこの一撃により体に致命傷を負ったが、他の軍人たちは炎を操ることによりブーメランを溶かす。この光景を前に、御鷹の堪忍袋の緒が切れる。

「よせ! 今の瑞葉は、ただの子供なんだ! ずっとテロ組織に利用されてきたあの子は、ようやく家庭を手に入れたんだ!」

「……なあ、御鷹。その年端もいかない子供が、リベリオン・マギの幹部にまで上り詰めるほどの力を秘めていることを……疑問には感じなかったのか?」

「……何が言いたい」

 何やら不穏な雰囲気だ。竜也はメタルミストの銃を彼に向けたまま、話を続ける。

「それを不審に思った僕は、色々なことを調べた。先ず、普通のマグスは、死後に一つのメディカを作り出す。違うか?」

「……それがどうした?」

「瑞葉はメディカの供給のために品種改良され、死後に複数のメディカを生み出す個体となった。その副産物として、瑞葉は普通のマグスよりも高い魔力を生まれ持ったんだ。だから瑞葉は、養殖マグスであるにも関わらず、普通の野良マグスより強いんだよ」

 養殖マグスである瑞葉が強い力を持つことは、決して偶然ではなかったようだ。御鷹は歯を食いしばり、竜也を睨みつけた。

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