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Humanity Magi  作者: やばくない奴
全ての元凶
54/71

分断

 秀一(しゅういち)は焼死した。彼の息は完全に途絶えている。しかしどういうわけか、彼の体がメディカに変わる様子はない。そこにあるものは、紛れもなく焼死体だ。

「一体……どうなってやがるんだ……?」

 紅蓮(ぐれん)は目を疑った。果たして、彼は本当にマグスだったのだろうか。彼が死亡した今となっては、真相を確かめる手段はない。


 会議室に、一人の男が姿を現す。

「ヒヒヒ……キミが新たな司令官となるのなら、リベリオン・マギは二つの組織に分かれることになるねぇ」

 (かおる)だ。御鷹たちは一斉に、彼の方へと目を向ける。

「どういう意味だ……薫。いや、ドクター・マガミ!」

 御鷹(みたか)は訊ねた。薫はにやにやと笑ったまま、強気な発言をする。

「ヒヒヒ……ワタシも司令官だ。人間に魂を売ったキミと、マグスのワタシ……リベリオン・マギの連中は、どちらにつくだろうねぇ」

 しかし、(ゆう)はすでに彼の素性について聞かされている身だ。

「少なくとも、ミーは紅蓮司令官につくよん。ユーの正体が人間であり、全ての元凶であることを知ってしまったからね」

 彼に続き、瑞葉も言う。

「私はリベリオン・マギを抜けた身です。しかし、宮城紅蓮(みやしろぐれん)が司令官を務めるのなら、私は彼女に付き従います」

 現状、御鷹たちの間で、紅蓮に対する信頼は厚い。少なくとも、今この場においては、彼女の方が薫よりも人望がある。


 祐はリベリオン・マギの計画を話す。

「皆、よく聞いて。一週間後、新宿でマグスウィルスを用いた大規模なテロが行われるんだ。今のうちに、備えておいた方が良いよん」

 その報告に対し、紅蓮は感謝を述べる。

「ああ、ありがとう。一応、集落がガラ空きになるとまずいし、そっちも守っておかねぇとな。一先ず、約束は約束だ……あのいけ好かねぇ看守に、このことを連絡しねぇとな!」

 彼女はすぐにスマートフォンを取り出し、例の看守に電話をかける。しかし、電話が繋がる様子はない。

「おかけになった電話番号は、現在使われておりません」

 何度電話をかけ直しても、返ってくるのはその自動音声だけだ。何かを察した紅蓮は、唖然とした表情で薫の方を見る。無論、薫はこの件に大きく関与している。

「ヒヒヒ……やはり、裏切り者は消しておくに限るねぇ。こいつは見せしめだよ……誰も裏切らないように、こうやって圧をかけておく必要があるからねぇ」

 そう――――あの看守は消されたのだ。紅蓮は壁を勢いよく殴り、亀裂を入れる。その瞳は、憎しみを孕んでいた。

「オメェだけは絶対に殺す。覚えておけ! ドクター・マガミ!」

 今のところは、まだ宿敵を倒せる手立てはない。一旦、御鷹たちは引き返すことにした。


 彼らの立ち去った後の会議室で、薫は呟く。

「……なるほど。魔法を持たないマグス……か」

 彼は何かをひらめいたようだ。



 *



 翌日、新宿駅はリベリオン・マギの戦闘員で溢れかえっていた。彼らは皆、シャワーヘッドのような武器を構えており、その先端から霧のようなものを放っている。そんな彼らに立ち向かうのは、防護服とガスマスクを着用した御鷹だ。彼はメタルミストを駆使し、戦闘員の軍勢を次々となぎ倒していく。しかし、すでにばら撒かれたウィルスは、今この瞬間も善良な市民たちに感染している。


 その場には、薫もいる。

「ヒヒヒ……今回は人間を殺すなよ。感染を拡大させるには、奴らを生かしておく必要があるからねぇ」

 彼の指示に対し、戦闘員の集団はすぐに返答する。

「ユグドラームの意志のままに!」

「ユグドラームの意志のままに!」

「ユグドラームの意志のままに!」

 このままでは、取り返しのつかないことになるだろう。その場では、紅蓮も戦っていた。

「皮肉だぜ。かつての敵が味方で、かつての味方が敵になるなんてな」

 彼女はそう呟き、苦笑いを浮かべていた

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