表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Humanity Magi  作者: やばくない奴
全ての元凶
53/71

忌まわしき炎

 翌日、御鷹(みたか)はいつもの集落に戻った。彼は愛恋(あれん)から、政府の陰謀や玲作(れいさく)の素性について聞かされた。

「……そうか。アイツが……全ての元凶だったんだな」

「そうなるね。今の僕たちには、大きな課題が二つある。一つはドクター・マガミを倒すことで、もう一つは全ての真実を国民に伝えることだ」

 彼らの戦いは、ついに国そのものを敵に回すほどのものに発展していた。紅蓮(ぐれん)は二人の肩に手を置き、ある提案をする。

「今は迅速に行動を起こす必要がある。政府の連中が対策を講じる前に、オレたちは動かねぇといけねぇ。行くぞ。御鷹、愛恋」

 御鷹は首を傾げ、彼女に問う。

「行くって……どこにだ?」

「リベリオン・マギの拠点だ。司令官に全てを話し、組織の連中にも手を貸してもらう」

 彼女は答えた。御鷹たちは頷き、すぐに準備に取り掛かった。無論、この作戦には瑞葉(みずは)も同行する。強大な敵の存在を前にして、彼らは確かに結束している。



 数時間後、御鷹たちはリベリオン・マギの会議室に辿り着いた。全ての真相を語った紅蓮は、秀一(しゅういち)を仲間に引き入れようとする。

「司令官……真の敵はドクター・マガミだ。ここは一つ、オレたちに力を貸して欲しい」

「ふむ……つまるところ、結局は人間が我々の敵だったということだな。ドクター・マガミも、政府の連中も、同じ人間だ」

「今はそんなことを言っている場合じゃねぇだろ! この戦争を終わらせるためにも……」

「終わらせてなるものか! 人間は敵だ! 我々は人間によって人権を失い、人間によって尊厳を踏みにじられてきた! そんな忌まわしい種族と手を組めというのか? 悪い冗談もほどほどにしてもらいたい!」

「そうか……それなら仕方ねぇな」

 話し合いは通用しない。紅蓮は両手に炎をまとい、彼を睨みつける。彼女はそのまま両手を前方へと突き出し――――


「オレはもう、オメェにはついていけねぇよ」


――――灼熱の炎を放出した。秀一は全身を焼かれつつ、かつて自分が四肢と片目を失った時のことを思い出した。彼の脳裏には、彼に暴行を加えてきた人間たちの姿が鮮明に映し出されている。

「やめろ! 私はまだ、死にたくない! (ゆう)! 何をしている! 早くコイツを止めたまえ!」

 押し寄せるトラウマを前にして、秀一は酷く取り乱している。その横で、祐は苦笑いをしながら肩をすくめている。

「コイツら全員の相手をしろって? ミーが? 無茶振りがすぎるよん。司令官」

「ふざけるな! 何故だ! 何故、私が苦しまねばならぬのだ! これが、これが祝福されし命だと言うのか!」

「瑞葉ちゃんも紅蓮ちゃんも、組織を裏切った。それってつまり、司令官に人望がないってことじゃん。ミーだって、ユーなんかのために命を張りたいとは思わないよん」

「紅蓮! わかった! もうわかった! 私の力ならいくらでも貸そう! だから、こんな真似はよせ!」

 秀一は怯えていた。過去の悲劇と現在の死の危機が交わり合い、彼の正気を奪っていく。その様を冷たい眼差しで眺めつつ、紅蓮は言う。

「オメェは司令官の器じゃねぇ。これからのリベリオン・マギを率いるのは、このオレだ」

 彼女の目の前で、秀一の叫び声が掠れていく。彼の動きが鈍っていく。その身を焼かれていく中で、秀一の意識は徐々に薄れていく。

「ユグドラーム……何故……私を……救ってはくれぬのだ。私は……ずっと……ずっと……苦しんできたというのに……」

 それが彼の最期の言葉だった。彼は苦痛に顔を歪めたまま、力尽きるように息絶えた。紅蓮は祐の方へと目を遣り、不敵な笑みを浮かべる。

「今日からオレのことは、司令官と呼べ」

「ウェーイ! それが良いね。ユーたちの話を聞く限り、少なくともミーたちの利害は一致しているしね」

 意外にも、祐は彼女の誘いを快く受け入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ