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Humanity Magi  作者: やばくない奴
全ての元凶
52/71

救出

 それから愛恋(あれん)たちは監獄を突き進み、御鷹(みたか)のいる檻の前まで辿り着いた。彼のすぐ真横には、銃を持った看守の姿がある。

「動くな。コイツを殺されたくなかったらな」

 看守は人質を取った。しかし、人質を取ることに関しては、紅蓮(ぐれん)の方が一枚上手である。

「御鷹を撃ってみろ。オレはオメェをぶっ殺すし、政府の連中も同じ所に送り込んでやるからよ」

 そう言い放った彼女の声色には、気迫があった。両者ともに、鋭い目つきで睨み合っている。


 愛恋は言う。

「僕は御鷹を殺されたくはない。だけど、もし君が御鷹を殺したら、国家の社会的信用は地の底だよ。さあ、御鷹を解放するんだ」

 彼に続き、瑞葉(みずは)も看守を脅迫する。

「情報操作しかできない国家に、貴方を守れると思いますか? いざとなれば、国家は貴方のことも切り捨てることでしょう。実行犯は、スケープゴートに最適ですから」

 しかし、三人の脅迫を受けてもなお、看守はまるで物怖じしていない。

「その覚悟なら出来ているぜ。俺様は利害ではなく、信念で動いているんだ。俺様の死がこの国の未来を照らすのなら、俺様は喜んでこの命を使うつもりだ!」

 そう――――彼は信念で動いていたのだ。紅蓮はため息をつき、すぐに険しい表情をする。

「オメェには……家族がいるか?」

「ああ、娘がいる」

「このままマグスウィルスが撒かれれば、次に死ぬのはその娘かも知れねぇぞ。あるいは、その娘のダチが死ぬことだって考えられる。そこで更にオメェが死んだら……その娘はどうなるんだ?」

 集落での生活を経て、彼女は「家族」というものを理解し始めていた。看守の顔に、迷いが現れ始める。

「しかし、俺様は……国の未来を背負っているんだ……」

「ああ、そうだろうな。そこで、ここは一つ取引をしようじゃねぇか」

「取引……?」

「オレはリベリオン・マギの内情を知っているし、顔が利く。テロの日時と場所が発覚し次第、オレはオメェにそれを密告することができるわけだ。オメェの娘を確実に守れるのは、オレたちだけなんだよ」

 長らくテロ組織で動いていた紅蓮は、交渉に慣れている。看守はため息をつき、銃を降ろす。

「俺様が国を裏切れば、政府は俺様の娘を抹殺するだろう。だが、俺様が国家を裏切らなければ、リベリオン・マギが俺様の娘を殺害する。これは僅かな希望にすぎないが……娘の命は、テメェらに預けることにする」

 交渉成立だ。看守は檻の扉を開け、御鷹を解放する。彼はすぐにスマートフォンを取り出し、紅蓮と連絡先を交換した。愛恋は再び竜に変身し、御鷹たちを背に乗せる。

「これで一件落着だね」

 彼は屈託のない笑顔を浮かべ、監獄の壁を破壊しながら大空へと飛び立った。



 *



 翌日、リベリオン・マギの会議室には、三人の幹部が出席していた。秀一(しゅういち)(ゆう)、そして(かおる)だ。紅蓮という戦力を失っている今、彼らの置かれている状況は極めて絶望的である。

「ふむ……紅蓮は今日も帰ってこないようだな」

「そうみたいだよん。ここは大きな行動を起こして、人間どもに圧をかけておく必要があるね」

 二人は頭を悩ませ、思考する。ここで下手を打てば、彼らには後がないだろう。


 そこで案を出すのは、薫だ。

「ヒヒヒ……新宿駅にマグスウィルスを撒こう」

 秀一はすぐに彼の方へと振り向く。

「ふむ……それは一体、どういう意図だね?」

「ヒヒヒ……新宿駅は、日本で最も利用者の多い駅だ。そこにウィルスを撒けば、感染は瞬く間に拡大するだろうねぇ」

「ふむ……確かにそうだな。ここは、君の案を採用することにしよう」

 リベリオン・マギはいよいよ、新宿駅に目をつけた。祐は嬉々として笑う。

「ウェーイ! これで人間どもも、改めてミーたちの恐ろしさを知ることになるだろうね!」

 主戦力となる逸材を失ってもなお、彼らは決して牙を失っていない。

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