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Humanity Magi  作者: やばくない奴
揺らぎ
44/71

未知なる力

 結局、御鷹(みたか)紅蓮(ぐれん)は集落に住むことを選んだ。



 その頃、リベリオン・マギの会議室では、優秀な戦力を失った秀一(しゅういち)が怒りを露わにしていた。彼は息を荒げつつ、話を切り出す。

「ふむ……紅蓮はもう、我々を裏切ったと見て良いのだろうな。どうしたものか……」

 裏切り者を野放しにするわけにはいかないが、相手はあの紅蓮だ。下手を打てば、こちらが返り討ちに遭うだろう。この危機的状況の中、(かおる)は不在だ。今この場にいるのは、秀一と(ゆう)の二人だけである。


 祐は言う。

「リベリオン・マギの総力をあげても、紅蓮ちゃんを倒すのは無理だと思うよん。ミーたちの敵はあくまでも人間なんだから、敵を見誤って突撃するのは自殺行為だよん」

 彼は自分の力を過信せず、紅蓮を敵に回さないことを選んだようだ。無論、秀一はこの現状に不満を抱いてこそはいるが、彼もここで無駄な死人を出すような男ではない。

「ふむ……私もそう思っている。では祐……君に重大な任務を言い渡そう」

「重大な任務……?」

「ドクター・マガミを殺せ。我々は幾度となくマグスバスターどもを瀕死にまで追い込んできた……奴さえいなければ我々の方が優勢だろう」

 それが彼の考えだ。

「了解だよん、司令官!」

 祐はすぐに出動した。



 数時間後、祐は無数のマグスの軍勢を連れ、研究所を包囲した。彼らは一斉に各々の腕に注射を突き刺し、あの言葉を口にする。

「ユグドラームの意志のままに!」

 戦いの始まりだ。研究所の入り口から、奏美(かなみ)竜也(りゅうや)が飛び出してくる。二人はメタルミストを駆使し、マグスの軍勢と戦っていく。一体のマグスに攻撃を仕掛ければ、別のマグスからの攻撃が飛んでくる。いくら二人が優秀なマグスバスターとは言え、辺り一帯を覆いつくすほどの軍勢を前にすれば苦戦を強いられるようだ。

「数が……多すぎる!」

「ミッションは難航しそうだな」

 それでも二人は立ちあがり続ける。奏美は電流をまとう剣を何本も作り出し、それらを遠隔操作しながら敵を蹴散らしていく。その傍ら、竜也は何丁もの銃を宙に浮かせ、全方位に向かってエネルギー弾を乱射する。無論、この間にもリベリオン・マギ側からの攻撃は続いており、奏美たちは徐々に負傷している状態だ。そんな彼女に対し、竜也はある提案をする。

「奏美。僕たちのメタルミストを合体させよう。力を合わせ、この軍勢を一掃するんだ」

 奏美はすぐにうなずき、霧状になったメタルミストを宙に浮かせる。竜也も同じ霧を作り、それを彼女の作った霧と同化させる。


 二人の頭上に、巨大なレーザー砲が生み出された。


「やるよ、竜也」

「ああ」


 大きな銃口から、凄まじい火力のエネルギーが発射される。マグスの軍勢は次々と焼き払われ、メディカへと姿を変えていく。これで軍勢は片付いたが、まだ肩を休めている暇はない。

「行くよ、竜也」

「どこにだ?」

五十嵐祐(いがらしゆう)が姿を消した。奴の狙いは、ドクター・マガミだよ」

 奏美は祐の目論見を見抜いていた。彼女は竜也を連れ、研究所の中へと戻る。二人はすぐに医務室の前の廊下に到着し、部屋の中を恐る恐る覗き込む。

「何故だ……何故、ミーの攻撃が通用しないんだ……?」

 何やら、祐は玲作(れいさく)を仕留めるのに手こずっている様子だ。何度有毒植物に体を貫かれても、何度首を絞めつけられても、玲作は涼しい顔で微笑むばかりだ。そればかりか、彼の体は損傷する節度、瞬時に再生している。この光景を前にして、竜也は驚きの声を漏らしそうになる。それを察した奏美は、すぐに彼の口を押さえた。二人が不信感を抱く中、玲作は言う。

「祐……私はまだ、お前を泳がせておくつもりだ。さあ、今日のところは引き返しなさい」

 彼の意図はわからないが、ここは引き返すのが賢明だろう。祐はため息をつき、その場を後にした。

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