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Humanity Magi  作者: やばくない奴
自分との戦い
40/71

無機質な殺意

 御鷹(みたか)はテロの現場に到着した。すでに、竜也(りゅうや)愛恋(あれん)がマグスの軍勢と戦っているようだ。この光景を前にして、御鷹は再び殺人衝動に駆られる。

「一匹残らず……殺す」

 彼の周囲には無数の剣が生み出され、たくさんのマグスを切り倒していく。その傍ら、竜也の構える銃は愛恋の方へと向けられている。

「君もマグスである以上、僕の敵だ。違うか?」

「違う! 種族なんて関係ない! 僕も御鷹も、自分の守りたいもののために戦うだけだ!」

「それは危険思想だ。闇雲に種族の対立に反対し、中途半端に民衆の戦意を奪うことは……自衛力を奪うことと同じだ。違うか?」

 相変わらず、竜也はあらゆるマグスを見境なく敵視している。本来なら、御鷹が愛恋に加勢する場面だが、今回はそうではない。

「標的発見……!」

 今の御鷹は、ナノマシンに操られている。彼は殺人衝動の赴くまま、その目に映るマグスを淡々と殺し続ける。無論、戦闘員たちは抵抗を試みるが、彼らの力では御鷹を止めることはできない。


 戦闘員たちは、すぐに殲滅された。


 その場にリベリオン・マギの幹部が現れなければ、次の標的は一体だけだ。

「標的を確認……」

 御鷹の目に飛び込んできたのは、愛恋だ。殺人衝動に取りつかれた狂戦士は、竜也とともに標的の命を狙う。愛恋は息を切らしつつ、必死に逃げ回るばかりだ。

「テロは食い止めた! 僕たちが争う必要はない……すぐに撤収しよう!」

 彼はそう呼びかけるが、竜也がそれに従うはずはない。

「ミッションはまだ終わっていない。君が最後の一体だ。違うか?」

 その冷たい目つきには、明確な殺意が宿っていた。彼は本当に、愛恋を仕留める気でいるらしい。更に今回は、御鷹も彼に加勢している。この戦いは愛恋にとって、あまりにも分の悪いものだ。



 その頃、御鷹は己の中で、再びもう一人の自分と対面していた。それは相変わらず同じ言葉を繰り返すだけの存在だったが、彼は決して諦めようとはしない。

「またアンタか……!」

「マグスを殺せ。マグスを殺せ。マグスを殺せ。マグスを殺せ」

「黙れ! 俺の体を返せ! これ以上、俺の大切なものを壊すなと言ってるんだ!」

 彼はそう訴えるが、もう一人の彼はそれを聞き入れようとはしない。御鷹は全身を鎖に縛られたまま、ただ叫ぶことしかできない有り様だ。

「マグスを殺せ。マグスを殺せ。マグスを殺せ」

「黙れと言っているのがわからないのか! 俺は、こんな戦い方を望んでマグスバスターになったんじゃない!」

「マグスを殺せ。マグスを殺せ。マグスを殺せ。マグスを殺せ……」

 もう一人の御鷹は、決して説得には応じない。そこには、人間らしい感情など欠片もないのだろう。無機質な表情のそれは、無機質な声で話し続け、無機質な殺意を加速させ続ける。これを「もう一つの人格」と呼ぶには、あまりにも血が通っていないのだ。言うならば、これは彼の姿を模した「機械」だ。御鷹はその場でうつむき、全てを諦めかけた。


――――その時だった。

「目を覚ませ! 御鷹! もうこの場には、オレたちしかいねぇぞ!」

 どこからともなく、紅蓮(ぐれん)の声がした。



 御鷹は正気を取り戻した。彼の周囲には、数多の鮮血とメディカが散らばっていた。そんな彼の目の前に、愛想笑いを浮かべている紅蓮の姿が飛び込んでくる。あの状況でも無傷の状態を保っている彼女を見て、御鷹はその強さに感心するばかりだ。しかし、今は彼女の強さに見とれている場合ではない。

「言っただろ。オレがオメェを止めてやるってな」

 紅蓮は言った。御鷹には、一つだけ気掛かりなことがある。

「ありがとう、紅蓮。愛恋は無事か?」

「ああ。オレが守りきったぜ」

「色々と……すまない」

 彼は安堵のため息をつき、そのまま疲れ果てたように眠りに落ちた。

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