えーと。ところで、君はブラは何カップ?
ピリポはキリキリキリと絞った矢を高校生たちに向けて放った。
しかしその矢はピロリンと間の抜けた音をたてたあと、見当違いの方向で一回転して落ちる。
「………」
「………」
スタスタスタ。
ピリポは矢を拾い、再びスタスタスタと戻ってきた。
そしてリモコン状の細長い機器を取り出す。
弓矢はいつの間にかどこかに消えていた。
ピリポはカヤにリモコン状の機器を示す。
それはまさにリモコンで、表面には三つのボタンがあり、それぞれ「自立」「共感」「反省」と記されていた。
「これはそれぞれ人の心に自立・共感・反省をもたらすリモコンなんだ」
(……なかったことにしている?)
「ボタンを押すと、光線が出る。はい、ビーム!」
ピリポはリモコンを高校生たちに向けて「共感」のボタンを押した。
リモコンの先から波状のオレンジの光線が飛び出し、四人の高校生たちを包む。
(全員いっしょくたでいいの?)
とカヤは思うが、きっといいんだろう。
オレンジの光線を浴びた途端、高校生たちは硬直し、数瞬後に弛緩する。
その表情は先ほどと違って相当にやわらいでいた。
いじめていた方も、いじめられていた方も。
「悪かった」
といじめていた一人が言った。
「うん」
といじめられっ子が応える。
二人は笑顔で見つめ合う。
「わ!」
とカヤが小さく感嘆の声をあげ、ピリポはドヤ顔だ。
「いきなり十万円て言われても困るよな。わかるよ」
と、いじめっ子。
「ありがとう。でも、十万円が必要な君の事情もわかるよ」
と、いじめられっ子。
「どうだろう、バイトしないか? おれたちが探してやるから」
「いいね。それでお金を作ろうか」
「なんだ、簡単な話だったんだな」
「ほんとに」
三人は一人の方を抱くようにして公園から去っていった。
「………」
どこか腑に落ちないカヤにピリポがドヤ顔をキープしたまま言う。
「一件落着だね」
「……そうでしょうか?」
「見てなかったの? 彼らのあいだに仲間意識が芽生えたじゃないか」
「仲間意識……。あれが?」
カヤはそう言って、首をひねる。
そんなカヤにピリポは言った。
「えーと。ところで、君はブラは何カップ?」
「はい?」
とカヤは思わずピリポをにらみつけた。




