羽根をつけてもらう理由としては二つある
こんにちは。作者です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「ノー! 個人的な興味で言ってるんじゃない」
とピリポは両手を突き出し、のけぞりながら言った。
「まったくそんなことはナシング!」
その言い方もどこか腹立たしい。
「じゃあ、どういう理由でブラのサイズなんて聞くんですか」
と、カヤはムッとした声を出す。
「天使として働いてもらうことになったら、羽根を用意しなきゃならない。その羽根が胸から背中にかけて装着するタイプなんだよ」
「ああ、なるほど」
(それにしても聞き方というものがあるのでは)
とカヤは思うが、どうやらピリポに常識的な対応を求めることは無駄なことのようだ。
「羽根をつけてもらう理由としては二つある」
「はい」
「一つは、天使としての存在感を示す」
「天使としての存在感?」
「いまのように、天使は悪事をおこなっている人間の心の歪みを矯正することが仕事なわけ」
「はい」
「そのへんの通りすがりの人が注意をしても効き目はない。あったとしても一時的でなおかつ限定的だ。天使だからこその存在感がものを言うわけだね」
「……さっき、笑われていませんでしたか?」
「もう一つは」
とピリポは指を立てる。あ、スルーされた。
「実際に空を飛ぶ必要があるからだね」
「空を飛べるんですか?」
「あた棒」
え、棒? なんの棒?
「ついでに言えば、リモコンもちゃんと提供する。弓矢は素人には扱えないからナシということで」
「………」
あなたも扱えなかったじゃないですか、とはカヤは言わない。
ピリポに気を遣ったわけではなく、さっきのことは忘れているに違いないとの確信があったからだ。
「まあ、細かいことはおいおい説明するとして。どう? 簡単な仕事でしょ?」
「そうですね。私、がんばってみます!」
「オッケー。じゃ、採用試験と面接の手続き、とっておくから」
「はい?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その次の週の日曜日。
カヤは電車に乗って採用試験会場へと向かっていた。
ピリポからスマホに届いたメッセージによると、会場は「本郷帝都大学」とのことだった。
よく小説やドラマなどでは「東京大学」と称されるところで、勉強のできる人たちがたくさんいる大学だ。
「そんなところで試験かあ。自信ないなあ」
とカヤは赤門をくぐり抜けながらつぶやいた。
「えーと、第一学舎の三○五教室は……?」
構内案内板を見て試験会場となる教室の場所をチェックする。
すぐ目の前の校舎だった。
カヤは中に入り、廊下をまっすぐ進み、目当ての教室の前に立った。
おそるおそるドアを開けると、そこには意外な光景が広がっていた。




